〔BL〕透き通った嘘
「へぇー、意外です。
医学もすごいと聞いていますし、そのルックスなら縁談があってもおかしくないのに。」
まぁ、確かに今までいろいろあったが。
「すべて、断りました。」
「えぇ!?
どうして…!!」
「どうしてでしょうね。」
それは正直、自分でも分からない。
考え込んでいると、パタパタとスリッパの音が聞こえてきた。
「ハァ、ハァ…!!
出来るだけ、集めてきました!!」
「どれくらい集まった?」
「17人…!!」
「おお!!
さっすが芹沢さん!」
「会場は伝えてあるんですか?」
「多分もう、みなさん向かってます!」
「場所は…」
「あ、あたしが送ります!」
「すみません、何から何まで。」
「じゃ、あたしはとっておきの人を連れてくるんで…!!」
…?
久子さんは、そう言ってまた、暗がりに走っていった。
「病院内は走ってはだめと聞いていたのですが。」
「そうですね、久子は目の前のことに全力で取り組むタイプですから。」
そう言って、僕は名前の知らない人とクスクス笑いあった。