〔BL〕透き通った嘘
「他人は俺のことを『成長した』と言う。
だけど、俺はこんな成長望んでなんかいなかった…!
思うようにいえなくて、息が詰まる。
だから芹沢。
俺はオマエを恨むよ。
なんであの時殺してくれなかったのか、ってね。」
「佐藤…」
「…いや、芹沢にあたるのもおかど違いか。」
佐藤はひどく、やつれた顔で笑った。
「芹沢…いや、芹沢さん、明日のオペ、頼みましたよ。」
そう言うと、店を出ようとする佐藤。
「佐藤、待て!」
「まだなにか?
・・
芹沢さん。」
「…佐藤、院長は、よくこういったお店に来られるんですか。」
僕の質問に、さっきの《ミキ》という人が答えた。
「ひいきにしてもらってます~!
とくに、アタシなんか…ね?」
意味ありげに笑った。
「…そういうことだ。」
「…っなんで!!」
「芹沢さん。
…世の中、巧くやった者勝ちですよ。」
佐藤はそう言った後、ニコッと笑って帰っていった。
佐藤の後に、僕も店を出る。
なんだか、不思議な
すっきりしない夜だった。