『華國ノ史』

ささやかで凶悪な反抗

 大きく昇る火の柱にクラッシュとミニッツそしてセコンドが何事かと走って来た。

ミニッツ&セコンド
「セブン!」

クラッシュ
「なんという事だ。

 フォロフォロ様が往かれたのか?」

 セブンは悲しそうに頷いた。

 クラッシュはよろめき、片膝を抱えた。

ミニッツ&セコンド
「これは?まるで死神みたいだ」

セブン
「こいつが…」

  クラッシュは気を取り直し、地面に倒れた黒いそれを見た。


  みるみるうちにクラッシュは怒りの形相になり、

 死体に近づき唾を四度吐いた。


  この世界で死体に四度唾をかけるのは最大の侮辱行為である。

クラッシュ
「死神ではない!

 忌々しいリッチだ。

 自分の魂と引き換えに他人の魂を死神に差し出す魔法使いの最大の汚点だ」


ミニッツ&セコンド
「でも、この爪は使えそうだ。

 セブン、切り落としてくれ」

クラッシュ
「爪?この爪!

 それにこのマントは、間違いない

 こいつはベルベットだ」


 クラッシュはセブンが握る双剣を見た。

クラッシュ
「お前が…こいつの首を落としたのか?」

ミニッツ&セコンド
「有名?」

クラッシュ
「太古の大魔法使いだ。

 そうでなければフォロフォロ様が敗れる訳が無い

 魔力を使い切ったのか?

 どちらにせよ、よく生き残れたもんだ」

セブン
「…行こう。ここも、もう崩れそうだ」


 四人は燃える街に埋もれゆく龍を惜しみつつ、城壁の裂け目から外へと出た。

 


 
 
 
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