『華國ノ史』
 ※以下本文と関係無し

「セブンに対する考察」

 魔法都市で訓練を続ける者の中で、ずば抜けた才能を持った青年がいるという噂程度は既に華國全体にあった。


 しかしこの時点では彼の真の実力はまだ世間にはよく知られてはいなかった。


 しかし身近にいた者達からは一心に期待を集めていた。


 彼らは魔法都市防衛戦より前に既に彼を認めている。


 後に大戦の、いや、世界の渦の中心となるであろう事を感じていた。


 いつもふざけている双子の魔法使いでさえ、その力を認め即座に共に道を歩むと決めた。


 力だけではこうはいかなかったであろう。

 
 彼には魅力があった。

 
 感情が豊かであり、表裏が無い。

 
 計算が出来ないという事でもないが、その計算よりも感情を優先させるのだ。

 
 それはいつも心清い選択であり、思いやりが溢れていた。

 
 誰もがそう思う。

 
 私の妻の葬式では、彼は私と同じように泣いていた。

 
 そして彼は妻の好きであった花の種を墓に撒いてくれた。

 
 自分が死んだら彼は同じように心の底から悲しんでくれるであろうと…

 
 そう思えば命など惜しくは無かった。

 
 この若き友を、若き英雄を支えるのだと心に誓い、老いた体に楔を打ち付ける。

 
 私の最初で最後の教え子。

 
 星よ彼を守りたまえ。



 【華國史】第参巻
 ~星の魔法使いの章~
 元華龍隊隊長
 俊撃の勇将 
 ウルブス・フォン・ドレイク
 の証言より

 

 

 

 

 
 
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