『華國ノ史』
 魔法都市壊滅後、救援に駆けつけていた部隊の到着を待たず、

 クラッシュの言う事にも耳を貸さずに四人は馬を借り走った。

 
 四人は疲弊していたが、怒りと、

 そして今から行う襲撃に興奮し目には既に闘志が宿っていた。


ウルブス
「大艦隊が船を着けたのであれば大陸最北の「白のみの浜」に違いありません」


セブン「距離は?」


ウルブス
「馬を飛ばして二日半。

 奴等は真っ直ぐに向かうでしょうが、大軍の為足は重い。

 
 恐らく四日以上はかかるはず」


ミニッツ
「で、どうするんだ?相手は大軍だぞ?」


セブン
「遠回りになるけど、見つからないように先回りしよう」

セコンド「それで?」

セブン「船を襲う」

ミニッツ「それで?」

セブン「逃げる」

ウルブス
「うむ、それならば勝算はありますね」

セブン
「今から1日走り続けて、少しだけ休もう。

 その後また走って半日休む。

 後は大軍が来るまで船を沈めまくってやる」


ウルブス
「上手く先回り出来れば我々ならば、

 到着までに相当叩けるでしょうな」

セブン
「よしっ!」

ミニッツ「腹減ったな」

セコンド
「カピパラ飯が懐かしいよ」

ウルブス
「大丈夫。カピパラを泣かせておきましたから。

 
 城の瓦礫に巻き込まれていなければ焼けずに残っているはず」

ミニッツ&セコンド
「よっしゃー!」

セブン
「みんな!無理はするなよ」

ミニッツ「こっちの台詞だ」

 悲しみを振り切る様にその日はがむしゃらに走り続けた。

 
 しかしどれだけ馬を飛ばしても、悲しみと怒りが後から後から追い付いて来る。

 
 今、たった四人でのささやかな反撃が始まろうとしていた。
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