『華國ノ史』
 砂浜には煌皇軍兵士が寒さから身を守るよう火を焚き野営を行っていた。


 1人の兵士が遠くにいるセブンを見つけて武器を手に立ち上がった。


煌皇兵
「おいっ止まれ!」


 声に応じて止まった青年の回りに炎が生まれるのが見える。


 それは次第に数を増やし続け、あっという間に50程の部隊となっていた。


 白い砂浜を闊歩する炎の部隊は次第に炎の剣を自らの体から抜き走りだした。

 
 悠長に構えていた煌皇兵はそれが敵意あるものだと気づき声を上げる。


煌皇兵
「敵襲ー!敵襲ー!」

 少し後ろで見ていたウルブス達は驚いていた。


ウルブス
「凄まじいですな!しかし恐ろしい魔法だ」

セコンド
「反則だよな~」

ミニッツ
「敵が可哀想にも見えるぜ」

 魔法の使えぬ者に対して無敵とも言える踊る炎の部隊はみるみる内に拠点を制圧した。


 たった1人の魔法で守備兵100人近くは壊滅となり、

 残る百はウルブスと双子に、残りはは逃げ去っていった。

セブン
「船の帆を燃やせ!」


 セブンの号令で踊る炎達は一斉に岸に着岸していた船に走る。

 
 大きい戦艦は沖の方に停泊しているようだ。


ミニッツ&セコンド
「遠くのは任せろ」

 すでにセブンの後ろまで来ていた双子は海面に魔方陣を敷き精霊を呼び出した。


 煌皇軍の船に侵入していたウルブスはその光景を遠巻きで見ていた。


ウルブス
「海の当たり屋か!」

 ウルブスにそう言われた精霊は、角を生やした巨大な海蛇のような姿をしていた。


 それは呼び出された瞬間から一心不乱に戦艦に突撃していき船底に穴を空けて回っているようだ。


ウルブス
「三人共に相当たくましく育ってくれたようだ」

 
 ウルブスは嬉しそうに呟き、太いマストを一刀両断して回った。



  
 
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