『華國ノ史』
 遠くに昇る煙をみて煌皇軍将軍ボーワイルドは内心肝を冷やした。


 直ぐに騎兵隊を先発として送り、撤退する軍の歩く速度を早めさせた。


 白だけの浜近くに敵の兵力は無いと思っていたボーワイルドはこの襲撃が予想外であったからだ。


 船が無くなれば自国から一番離れた大陸の端に孤立するからである。


 魔法都市を完全掌握せず、短期決戦で蹂躙したのも船を襲撃されるのを恐れた為でもあったからだ。


 散々に暴れたセブン達は魔力の消費と空腹で船への攻撃を中断し、

 野営を行っていた敵の食料を奪い、身を潜め休んでいた。


セブン
「この分だと明日には全部沈められそうだ」

ウルブス
「それはさすがに許されんでしょうな」

ミニッツ
「遅れてたら可能性あるんじゃない?」

セコンド「だよな」

ウルブス
「いや、感じませんか?」

ミニッツ&セコンド「何を?」

ウルブス
「そこの岩に耳を当ててご覧なさい」

 
 三人が岩に耳を当てると、微かに振動が感じ取れた。


ウルブス
「恐らく煌皇の騎兵隊でしょう。

 直ぐに大軍がやって来ます。

 避難しましょう」

ミニッツ
「まだいけるだろう?

 船はまだまだ残ってる」

セコンド
「見たろう俺達の力を

 なあセブン?」

セブン
「いや、引こう。

 相手に魔法使いがいたら不味い」

ウルブス
「ふむ。的確な判断です。

 たった四人でこれだけやれたんですし、良しとしましょう。

 
 先手は取られましたが、一矢は報えました。

 一矢だけですが」

ミニッツ「これからか…」

セコンド
「そうだな!これからだ」

セブン
「戻ろう、城へ!」



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