『華國ノ史』
煌皇軍キュバイン将軍の偽の大軍は見破られていたが、
華國主力は煌皇軍の動向を掴めずにいた。
そこへ魔法都市眠りドラゴン城からの救援要請を受ける。
大陸北からの侵略は無いと考えていた華國王都と上陸地点までの間には古い要塞こそあるが、
守備兵は多くなかった。
その為、国境付近で足止めを喰らっていた部隊の殆どは、
魔法都市の救援要請を受けて直ぐ王都防衛の為に船を捨て、
大陸中央へと転身した。
報告通りであれば魔法都市は既に壊滅しているであろうと考えた上での苦肉の決断であった。
この時、足の速い数十の部隊だけをを魔法都市へと向かわせたのはボーワイルド撤退のきっかけとなった。
ボーワイルド将軍率いる大艦隊は一路、進路を東へと向けた。
ここでまたしても華國は読みを誤った。
しかしそれは安全策としては当然であった。
ボーワイルドはそうなるであろうとも予測を立てていた。
北の海峡を避け、ボーワイルドHA比較的安全な航路である東を堂々と通ったのである。
華國東に残った部隊は艦隊数では同等以上であったが、
主戦力が王都防衛に向かってしまったので華國艦隊は交戦を避けた。
しかし、一見すれば順調にも見えたこの速やかな退却は、
大陸北方の奇襲に参加した者達には一番の窮地となる。
たった四人で行われた船舶襲撃という小規模な逆襲はじわじわと彼らを苦しめたのだ。
艦隊3分の1以上を航行不可にされた退却軍は、
残った船に定員以上の乗組員を抱える事になる。
ウルブスの策で水は汚され、食料も多くが駄目になっていた。
その為大陸東航路を南北に縦断するには水と食料が不足がちとなる。
いつ華國の反撃艦隊が現れるかわからぬ緊張状態の中、
渇きと飢えも重なり疲労は凄まじかった。
途中補給に降りた中立国である島国で、
半ば強制的に物質を徴収した為に怒りも買ってしまう。
襲撃にHA成功したが彼らは苦しめられ、
勝利の気運はどんどんと下がっていく。
しかしボーワイルドは自ら軍旗を持ち、遅れをとる船を勇気づけて回った。
奮起の将軍。
彼は兵を焚き付けるのが上手かった。
極寒の海風、飛沫が舞う船首に1人軍旗を持ち続けた。
凍えたひげ、凍った軍服。
たなびく軍旗を持つ老将のパフォーマンスというにはあまりにも過酷である。
若い将校もこれを真似るが誰も最後までは続きはしなかった。
強い視線の先には自軍の艦隊。
本艦から旗信号を全艦隊に発信された。
「最後に
本国に降り立つのは
私だ。
先に降り、出迎えよ」
ボーワイルドを乗せた本艦は最後尾に回り、疲弊した艦隊の背を押した。
これを見た船の乗組員達は飢えと渇きを忠誠心と尊敬で満たす。
凍てつく海の寒さは熱き男の行動で恐れる事も無くなった。
こうしてボーワイルド将軍による史上でも名高い海峡越えの奇襲は成ったのである。
しかし、彼はこれ程の苦境に追い込んだまだ見ぬ敵を、心の奥で敵ながら賞賛していたのだった。
華國主力は煌皇軍の動向を掴めずにいた。
そこへ魔法都市眠りドラゴン城からの救援要請を受ける。
大陸北からの侵略は無いと考えていた華國王都と上陸地点までの間には古い要塞こそあるが、
守備兵は多くなかった。
その為、国境付近で足止めを喰らっていた部隊の殆どは、
魔法都市の救援要請を受けて直ぐ王都防衛の為に船を捨て、
大陸中央へと転身した。
報告通りであれば魔法都市は既に壊滅しているであろうと考えた上での苦肉の決断であった。
この時、足の速い数十の部隊だけをを魔法都市へと向かわせたのはボーワイルド撤退のきっかけとなった。
ボーワイルド将軍率いる大艦隊は一路、進路を東へと向けた。
ここでまたしても華國は読みを誤った。
しかしそれは安全策としては当然であった。
ボーワイルドはそうなるであろうとも予測を立てていた。
北の海峡を避け、ボーワイルドHA比較的安全な航路である東を堂々と通ったのである。
華國東に残った部隊は艦隊数では同等以上であったが、
主戦力が王都防衛に向かってしまったので華國艦隊は交戦を避けた。
しかし、一見すれば順調にも見えたこの速やかな退却は、
大陸北方の奇襲に参加した者達には一番の窮地となる。
たった四人で行われた船舶襲撃という小規模な逆襲はじわじわと彼らを苦しめたのだ。
艦隊3分の1以上を航行不可にされた退却軍は、
残った船に定員以上の乗組員を抱える事になる。
ウルブスの策で水は汚され、食料も多くが駄目になっていた。
その為大陸東航路を南北に縦断するには水と食料が不足がちとなる。
いつ華國の反撃艦隊が現れるかわからぬ緊張状態の中、
渇きと飢えも重なり疲労は凄まじかった。
途中補給に降りた中立国である島国で、
半ば強制的に物質を徴収した為に怒りも買ってしまう。
襲撃にHA成功したが彼らは苦しめられ、
勝利の気運はどんどんと下がっていく。
しかしボーワイルドは自ら軍旗を持ち、遅れをとる船を勇気づけて回った。
奮起の将軍。
彼は兵を焚き付けるのが上手かった。
極寒の海風、飛沫が舞う船首に1人軍旗を持ち続けた。
凍えたひげ、凍った軍服。
たなびく軍旗を持つ老将のパフォーマンスというにはあまりにも過酷である。
若い将校もこれを真似るが誰も最後までは続きはしなかった。
強い視線の先には自軍の艦隊。
本艦から旗信号を全艦隊に発信された。
「最後に
本国に降り立つのは
私だ。
先に降り、出迎えよ」
ボーワイルドを乗せた本艦は最後尾に回り、疲弊した艦隊の背を押した。
これを見た船の乗組員達は飢えと渇きを忠誠心と尊敬で満たす。
凍てつく海の寒さは熱き男の行動で恐れる事も無くなった。
こうしてボーワイルド将軍による史上でも名高い海峡越えの奇襲は成ったのである。
しかし、彼はこれ程の苦境に追い込んだまだ見ぬ敵を、心の奥で敵ながら賞賛していたのだった。