『華國ノ史』
大陸中央に向かっている四人の眼前横一面に林の壁が待ち受けていた。
王都を環状に取り囲むそれは華國の名の由来である桜華(おうか)の樹と呼ばれる。
北大陸統一を記念し人工的に植えられた長い長い木の壁は一年に二度薄紅色の花をつけた。
無知なる者の止まり木の入学式で振り撒かれた花もこれであった。
人々は街を囲むそれを「桜華の指輪」と呼んでとても尊び、愛した。
ミニッツ「残念だな~」
セコンド
「花が咲いてりゃ綺麗なんだろうけど」
セブン
「ここを抜ければ見えるんですよね」
ウルブス「見えますよ」
木のトンネルを抜けると畑が広がり、
遠くの方に城壁が見えた。
小高く隆起した丘に取り囲まれ、日の光を受け白く輝いているようである。
その中央には天高く伸びる円筒状の塔がいくつも城壁を見下ろしていた。
旗が幾つも掲げられ風をはらんで翻っている。
何よりも目を引くのは城壁や、王城にまで至る所に植えられた桜華の樹であった。
今は開花時期では無いものの、一斉に咲けば華國と呼ばれる由縁が一目で分かったであろう。
ウルブス
「あれが王の住まう都、
全てがあると言われる全能都市
『オールイン』です」
煌皇国の者ですらこう言う
「華國の王都に無い物があるとすればそれは差別であると」
それほどまでに完璧な街であった。
花の妖精に愛された王都周辺の畑では人々が豊作を喜び、
街にはそれを求めて多くの商人が集まった。
商人と共に物が溢れ、その税金で街は機能的に美しく整備された。
噴水の水は清らかで冷たく、飲用にも適し、素晴らしい造形美を誇る。
地下水路も計算しつくされ、歩道は住民が協力してモザイク柄を施していた。
工場区では汗を流す事を喜びとする職人達が大声で歌っている。
学者達は静かな城内で手厚く保護され、子供達が常に走り回っていた。
夜には1日の労働を労うように酒場に人が溢れたが治安は大陸一であると自他共に認められている。
かつては軍事国家であったとは思えない程、
平和と希望に満ち溢れている街であった。
何より目を引くのはその人種の多さである。
魔法都市のひび割れランプ通りよりも多種多様に及んでおり、
驚くのはそれらが共通のルールを守り共存しているという事だった。
あらゆる者に愛された都である証明と言えよう。
王都を環状に取り囲むそれは華國の名の由来である桜華(おうか)の樹と呼ばれる。
北大陸統一を記念し人工的に植えられた長い長い木の壁は一年に二度薄紅色の花をつけた。
無知なる者の止まり木の入学式で振り撒かれた花もこれであった。
人々は街を囲むそれを「桜華の指輪」と呼んでとても尊び、愛した。
ミニッツ「残念だな~」
セコンド
「花が咲いてりゃ綺麗なんだろうけど」
セブン
「ここを抜ければ見えるんですよね」
ウルブス「見えますよ」
木のトンネルを抜けると畑が広がり、
遠くの方に城壁が見えた。
小高く隆起した丘に取り囲まれ、日の光を受け白く輝いているようである。
その中央には天高く伸びる円筒状の塔がいくつも城壁を見下ろしていた。
旗が幾つも掲げられ風をはらんで翻っている。
何よりも目を引くのは城壁や、王城にまで至る所に植えられた桜華の樹であった。
今は開花時期では無いものの、一斉に咲けば華國と呼ばれる由縁が一目で分かったであろう。
ウルブス
「あれが王の住まう都、
全てがあると言われる全能都市
『オールイン』です」
煌皇国の者ですらこう言う
「華國の王都に無い物があるとすればそれは差別であると」
それほどまでに完璧な街であった。
花の妖精に愛された王都周辺の畑では人々が豊作を喜び、
街にはそれを求めて多くの商人が集まった。
商人と共に物が溢れ、その税金で街は機能的に美しく整備された。
噴水の水は清らかで冷たく、飲用にも適し、素晴らしい造形美を誇る。
地下水路も計算しつくされ、歩道は住民が協力してモザイク柄を施していた。
工場区では汗を流す事を喜びとする職人達が大声で歌っている。
学者達は静かな城内で手厚く保護され、子供達が常に走り回っていた。
夜には1日の労働を労うように酒場に人が溢れたが治安は大陸一であると自他共に認められている。
かつては軍事国家であったとは思えない程、
平和と希望に満ち溢れている街であった。
何より目を引くのはその人種の多さである。
魔法都市のひび割れランプ通りよりも多種多様に及んでおり、
驚くのはそれらが共通のルールを守り共存しているという事だった。
あらゆる者に愛された都である証明と言えよう。