『華國ノ史』
「第三次南北戦争期」
「良い目を持った青年であった。

 そういう目はもう一人見ている。

 真っ直ぐであり、頑固であり、それでいて優しい目だ。


 雰囲気も似ている。

 気力がみなぎり、内から外へと出たがっているようでもあった。


 彼は始祖が使わした者なのかもしれない。


 この激動期に自分が創った理想の国を守る為に。

 
 ならば創設者の意思に私は沿おうと思う。

 
 今までもそうしてきた。

 
 その結果民は増え、民は笑顔であるからだ」

 【華國史】第参巻
 ~星の魔法使いの章~
 華王 
 ブレイブリー・ロイヤル・スタッグ
 の証言より

 

「初めて彼を見たときに私にも一族の血が流れていると確信した。


 彼の怒りを感じた。

 悲しみも、そして強き意思も。


 父は彼が私に良く似ているという。

 私はそうは思わない。


 彼はあの若さで既に私と同じように決意をしているからだ。


 身分や己の力に関係無く、何かを命にかえて守るという決意を感じた。


 ならば彼が私の年になる頃にはどれ程の人物になるのだろう。


 今まで人にそんな事を感じたのは弟くらいの者である。


 矢よ彼を避けて通れ。

 槍よ彼を貫かぬ事を」

 【華國史】第参巻
 ~星の魔法使いの章~
 華國第一王子 
 リンス・ロイヤル・スタッグ
 の証言より
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