『華國ノ史』
 セブンはウルブスに部隊の編成方法や防衛配置、

 見張りの交代順等を教えて貰っていた。

 
 カトリは既に前線経験が会った為か、セブンよりも知識をウルブスから即座に吸収していった。

 
 ミニッツとセコンドは精霊の召喚がより簡単に行える様に魔方陣の作成を行い、

 クロネは双子から奪ったリッチの爪を自分の武器にしようと鍛冶場で苦戦しているようだ。


 華國の王子であるトリートの帰還とリンスの快進撃の報は三日月城塞を賑わせた。


 嬉しい報告は更に続いた。


ミニッツ
「よーセブン」

 
 ボルト亡命軍の隊長と話をしていたセブンにミニッツが駆け寄って来た。


ミニッツ
「客だぜ、誰が来たと思う?」

 
 ミニッツに急かされセブンは城塞北側の門の上に登った。

 
 ミニッツが指を指す方に牛車の一団があった。


セブン
「あれは…マッドイフリート!

 父さん!それにピエロも!」

 
 セブンの故郷で飼われていたマッドイフリートと名付けられた牛に引かれた牛車にはセブンの父親が手綱を握っている。


 その横にはセブンを魔法都市へと引率した道化の格好をした魔法使い、

 ピエロまでもが乗っていた。

 
 二人は手を振りセブンに門をあける様に促した。


セブン「開門をお願いします!」

 
 セブンは階段を駆け降り牛車の前まで一目散に走った。


セブンの父
「セブン!商売が上手くいっててな。

 上手く行き過ぎなんだが、商団と呼べる程までになってよ。


 食料や物資を沢山持ってきたんだ!

 ピエロさんが教えてくれたんだぞ。

 お前がここにいるってな」

ピエロ
「やあ、久しぶりセブン」

セブン
「ピエロ!

 本当にありがとう!二人とも!

 皆も喜ぶよ!」


父&ピエロ
「大きくなったな」

セブン
「ここの指揮を任されてるんだ」


「大したもんだ。

 騎士にもなったんだろ?」

ピエロ「隊長だもんな」

セブン
「中に入ってよ、今は安全だから」


「食べ物も酒も持って来たぞ!

 フカフカの毛布もたっぷりな!」


 久しぶりの父と友との再開はセブンだけでなく、

 三日月城塞に暖かいを灯らせた。

 
 暴れ牛だったマッドイフリートは年老いて大人しくなったようだ。

 セブンの手をザリザリと舐めている。


「こいつセブンに命を救われたの覚えているのかな?

 結局喧嘩友達は最後まで食えなかったよ。

 あっつ、痛てっ」

 父に対してはそれでも噛みつく様だ。
< 141 / 285 >

この作品をシェア

pagetop