『華國ノ史』
 ピエロがくれたネズミの玩具は特別な木で作られていた。
 
 
 目には小さなガラスがはめ込まれている。

「見てろよー」

 ピエロはネズミに呪文囁いた。


「働きネズミに極上のワインをやろう」

 
 その言葉にネズミは動きだし、ピエロの体をはいまわった。


「ちょうだいちょうだい!」


「潜入調査用のなんだけど、俺は使わないからあげるよ」

 
 セブンはピエロの肩に乗るネズミの尻尾を掴み嬉しそうに笑った。


「ありがとう!

 でも、これ?動かないや」


「動かすには練習しないとな、上手く使ったらそのねずみが見てるものも見えるようになるぞ」


「ふーん、じゃあお前は今日からマッドラットだ」


「マッドラット?」


「うちにマッドイフリートって牛がいるから」


「マッドって意味分かってないだろ?

 それにマッドラットは実在する魔物だぞ?気持ち悪いんだからあれ」

「じゃあチュー太郎」

「急に可愛くなったな」

「やっぱピエロンにしよ」

「うーん、好きにしろよ」

 
 コツを掴むと直ぐにセブンはネズミを動かせるようになった。


「やっぱ子供は覚えが早いな、俺なんて2日かかったのに、じゃあ行くか?」

 
 セブンはネズミを動かしながらピエロの後に続いた。
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