『華國ノ史』
 肝心のセブンの部隊に正式ではないがピエロが加わった事により益々華龍王華隊は三日月城塞の話題となる。


 実績のあるウルブスとピエロは言うまでもなかったが、

 セブンと共に過ごしていた仲間も実力者であったからだ。


 この世界の魔法使いのランクで言えばウルブスとピエロは魔術師で、

 残り全員は上級魔法使いであった為である。


 潜在能力でいえばセブンはこの時既に魔術師を越えた存在であったとされる。


 上級魔法使いと認められるには幾つかの条件があった。


 眠りドラゴン城の至る所に配置されていた魔力送りの石碑。


 それにはめられた魔力に反応する鉱石で一定以上のレベルを示す事。

 
 さらに上級魔法を習得し、初級魔法を無詠唱で行える事。

 
 使える魔法を十個以上取得している事が条件であった。

 
 魔術師になるとそれに加え新しい魔法の開発が条件に加わり、

 尚且つ幾つかの方面である程度の貢献していなければならなかった。

 
 上級魔法使いは全魔法使いの中でもその数を三割も越えていなかった。

 
 必ずしもランクが高い魔法使いが強いという訳ではなかったが、

 能力の指数を測る上で重要な役目を担っていた。

 
 選りすぐりの部隊は三日月城塞でも異才を放っている。

 
 カトリは常にセブンのそばに付き、隊長業務を支え、クロネは完成した武器を手にボルト族相手に特訓を重ねていた。


 魔方陣を完成させた双子は鳥形の精霊を呼び出し周囲の警戒を怠らなかった。


 三日月城塞の多くの者が次第にこの少数の部隊が別格の力を持っている事に気がつき初めていた中、

 セブンは思い悩んでいた。


 そして彼は寝食を共にしていた仲間にそれを打ち明けたのだ。


セブン
「ここにいる人間は皆優秀で、戦う理由もはっきりしている」


カトリ
「そうだな、教会騎士団は南の宗教狩りに会うだろうし」


クロネ
「ボルト族のみんなはまた差別を受けるしね」

ミニッツ&セコンド
「そんなの義勇軍もだろ?」

セブン
「そう、皆強く、それでいて負けられない思いを秘めているだろう?


 なのに何故、西の関所みたいな安全な場所に?


 東の兵力として使わないのはおかしくないかな?


 義勇軍のエイブルスも言ってたんだ」

ウルブス
「安全な場所は無いという事は先の奇襲で証明されたでしょう?」


セブン
「それでも、もう2ヶ月もたった。

 なのに東からの救援や、出撃要請も無い」

ピエロ
「単に統率の無い部隊を集めただけかもよ?」

セブン
「でも今じゃみんな仲良くやってるじゃないか」

カトリ
「集団戦闘訓練も様になってきたしな」

ウルブス
「それが狙いなのかも知れませんな」

ピエロ
「ちょっと違う気もするけどね、案外君達を育てる期間が欲しかったのかもね」

ウルブス
「ピエロの言う事も一理ありますね。

 貴方達は既に別格の存在なのですから」

 しかしこの後、セブンの心配は悪い方向に解決され、

 ウルブスが言った別格の存在という理由が証明される事になる。

 
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