『華國ノ史』

三日月城塞防衛戦(前編)

 大陸西の関所で異変を第一に察知したのは双子の精霊使いのミニッツとセコンドであった。

 
 彼らは鷹の姿をした精霊を呼び出し煌皇軍の動きを偵察していた。

 
 真っ白な鷹が戻ってくると自慢気に話を始める。


「見つけた。見つけた。

 あんたら死ぬよ!

 大軍だ」

ミニッツ「ここに敵軍が?」

セコンド「セブンを呼んで来る!」

ミニッツ「詳しく話してよ」


「敵を見た見た。

 目が良いでしょ?

 南の奴らだね。

 南にも行った事あるから知ってる。

 山の高さは翼に関係ないからね」

ミニッツ「旗は?」

鷹「いっぱいあった!」

ミニッツ
「お前、何百年も生きてるだろ?

 聞きたい事、分かるよな?」

 ミニッツは少し苛ついて声を荒らげた。


鷹「怒るなよ、怒るな。

 渦の中心は羽の生えた馬と、角の生えた生き物だ」


ミニッツ
「角の生えた生き物?ボーワイルドか!

 早くそれを言え!」


鷹「怒るなよな、せっかく何度も見てきたのに」

 鷹はミニッツの服をついばんだ。

ミニッツ
「悪かったよ」

 ミニッツは鷹にネズミを投げてやると、血相を変えセコンドの後を追ったのだった。


 頭に過るのは魔法都市での事ばかりであった。
 
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