『華國ノ史』
 三日月城塞では徹底交戦の宣言を行った後、

 戦闘体制へと移っていた。

エイブルス
「言われた通り、挑発したぞ。

 あれでよかったのか?」

セブン
「ええ、簡単にこの城は渡せませんから、後は作戦通りに」

エイブルス
「本当に良いのか?

 お前等、死ぬかもしれんぞ」


セブン
「死なないで済む戦いなんて…」

エイブルス
「言うねー、だが、真実だ」

 セブンは城塞内に向け声を発した。

セブン
「始めに言うが勝ち目は無い!

 王都へ撤退を開始する。

 だが、ただでこの城を明け渡す程我々は優しくない!

 少しでも敵の勢威を削ぐ、誰も死ぬな!

 王都まで共に戦い抜くんだ!」


 セブンの号令に全ての軍団長が呼応する。


エイブルス
「おうっ!
  義勇軍、弓兵前へ!
   恐れるな!勇気を絞り出せ!」


ジェノス
「任せろ!
  野郎共戦闘の準備だ。
   いいか?しっかり稼げよ!」


スピア
「我々ボルトの力を示す時だ!
     その名に恥じぬ戦いを!」


サジ
「フィナレ様に栄光を!
     我等に女神の加護を!」

セブン
「華龍王華隊!
 
 前へ!
   
 我等は華國の守護龍の爪!
    
   王国の牙たる虎とならん!」


 負け戦博士目に見えていた。

 しかし声をあらげずにはいられなかった。

 迫る敵と死の恐怖との葛藤で必死に戦っていた。
 

 しかし、頼れる軍団長達の声は震える膝を止め、自分達を震い立たせた。

 
 戦場特有の空気か、勇者達の後ろ姿が彼等を酔わせるのだった。








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