『華國ノ史』
 煌皇軍より第二の使者が橋に向け送られる。

ウルブス
「一人でも油断は禁物です」

セブン
「嫌な予感がする」

カトリ
「向こうの城からかなり殺気がかんじられるな」


 煌皇の使者は馬に乗って橋を渡りきり、華國側三日月状の正門前へやって来た。


セブン
「止まれ!それ以上近づくな!」

使者
「戦場ゆえ馬上より失礼する。

 我が国の指揮官ボーワイルドは無駄な争いを望みはしない。


 お近づきの印にこれを受け取って頂きたい」

セブン
「受けとる事は出来ない!

 ここからは一兵も通す事も出来ない。

 立ち去られよ!」


使者
「後悔する事になられるぞ?

 だが、その旨お伝えする。

 しかしこれは受け取って頂こう。

 直ぐに回収する事になるかも知れませんが」


 そう言うと使者は一つの袋を投げ渡し、そのまま去って行った。

 
 そこへ傭兵団長ジェノスが血相を変えて走って来る。

ジェノス
「どけっ!それから離れろ!」


 ジェノスは無理矢理セブンから袋を奪い袋の口を開け中を見た。

 
 その顔は焦りの色が出ている。

 取り出されたのは赤黒い宝石であった。

ジェノス
「皆下がれ!こいつは炎を吐き出すぞ!」

セブン
「ジェノス!それを私に!早く」

 
 煌皇側では使者の報告を受けたボーワイルドがフェネックに合図を出す。


使者
「敵陣営に火吸石(ひすいせき)を投げ込みました」

ボーワイルド
「では始めるか、フェネック!

 戦闘用意!」

フェネック
「全軍!八大秘宝の火吸石が火を吹き出すと同時に作戦を開始する!

 少数であるが、抜かるなよ!」

 
 ボーワイルドが皇帝より授けられた煌皇国八大秘宝である炎を吸い込む宝玉。

 
 火吸石の炎を解放する言葉を発した。

ボーワイルド
「火の心臓よ!

 血を巡らせ命を吹き出せ!」
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