『華國ノ史』
 鉄鎖傭兵団のジェノスは第二次南北大戦の後、

 華國より密命を受け南大陸に渡っていた。


 その目的は三次大戦が勃発した際に障害となる物の情報の収集と強奪であった。


 しかし表面上、華國とは無関係である事になっていた彼等は傭兵崩れの盗賊団として両者から見られていたのだ。


 「鎖を離された野良犬」と呼ばれていたが、

 その実は汚名を被ってでも任務を遂行する忠犬であった。

 
 投げ込まれた物が煌皇の八大秘宝の火吸石と勘ぐったのはその為である。

 
 長年溜め込んでいた炎を吐き出す戦闘向けの危険な宝物である事を知っていたからであった。


ジェノス
「早く谷へ投げ捨てろ!」

 
 セブンは言う事を聞かず城壁から飛び降り、マジックアロウで落下衝撃を反転し城壁前に立った。

 
 城壁の上からは華國軍の皆がセブンを見下ろしていた。


セブン
「ジェノス!炎を出すだけですね?

 魔法では無いんですね?」

ジェノス
「そうだ!魔法の炎では無い!」

セブン
「ジェノス!他にも何か使って来るかも知れない、その時は教えて下さい!」


ジェノス
「いいから早く、それを谷へ投げ込め!

 腹一杯の石が炎を撒き散らすぞ!」

 
 その時、石から「パチッパチッ」っと火花が飛び始めた。

 
 セブンはそれを地面に落とし、セブンは地に手を付き呪文を唱える。


セブン
「我が意思を受け、
    土よ、競り出せ…

 我が創意に答え
   大地よ、沸き出せ、

   ファンタスグラウンド !」


 セブンの地に付いていた片手から、土が隆起しあっというまに半円ドーム形の土壁が作られた。


 ボーワイルドが唱えた呪文により炎が解放された火吸石の炎は凄まじい勢いで谷へ向け走り、

 橋を渡り、逆に煌皇軍を襲った。


ジェノス
「やるじゃねーか!利用しちまうとはな!」

 
 ただ単に炎が出るだけという事を利用し、セブンは炎の向きを土魔法で調節したのだ。


 これに対し敵将ボーワイルドは、水の魔法使い達を呼び出し城の前に水や氷で壁を作らせた。


 魔法都市襲撃時に炎の魔法で被害を受けていた為に警戒して前線に配置していたのだ。


ボーワイルド
「やられたな、だが、まだまだこれからだ」

 
 これだけ終わるであろうと思っていたが、

 ボーワイルドは安全の為に幾重にも作戦を練っていたのだ。



 
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