『華國ノ史』
 馬車の中には珍しい商品がぎっしり詰まっていた。

ピエロ
「違法な商品は無いだろうな?」

商人
「キース商団はいつでも、笑顔で、正直商売!がモットーなんですけど」

 
 ピエロはじっと商人の目を見た。


ピエロ
「嘘だな、俺は嘘を見抜けるんだ。
 

  魔法でね、内調に嘘をつくのは感心しないな~」


セブン
「嘘をつくと、妖精に耳を引っ張られるぞ」


ピエロ
「良く知ってるな!

 
 そうだなー最悪耳を失うかもよ?

 
 セブンさっきのナイフの魔法の練習にこのおじさん使いなよ」

 
 セブンは得意気に自慢のナイフを取り出した。


商人
「待って待って!…そこのツボです」

 
 セブンが商人の言うツボの蓋を取ると中から小さな妖精が出てきた。

 
 お世辞にも可愛いとはいえない汚い妖精が商人の耳を引っ張り、セブンにキスをして飛び去った。

商人
「おー痛い」

セブン
「うえー汚い」

ピエロ
「珍しいな沼妖精じゃないのか?」


商人
「沼で生えてる植物取りに行ったらたまたま見つけて」


ピエロ
「妖精、精霊の監禁は違法だけど、あれ需要無いだろ?」


商人
「ええ、まー無いですけど珍しいですし、売れるかと思いまして」


ピエロ
「港街までの旅費持ちで手を打ってやる。以後気を付けろよ」

商人
「すいません、へへ」

セブン
「何あれ?汚い」

ピエロ
「しー、聞こえたら気を悪くするぞ、全ての妖精が綺麗って訳じゃないさ、それ加護受けたな」

セブン
「加護?」

ピエロ
「キスされたろ?同じ泥妖精が好意を持つぞ」

セブン
「最悪~」
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