『華國ノ史』
 セブンが橋を駆けていると、それに気付いた死霊を撃破した煌皇側の魔法使いが一騎駆けの騎士を食い止めようと魔法を放つ。

 
 城の城門は既に死霊の襲撃を受け開門していた。

 
 石、氷柱、鋭き風が走るセブンを襲うが、魔法を防ぐ障壁に弾かれていた。

 
 一瞬セブンの足を止めたのは土魔法であった。

 
 橋の地面が鋭い槍となって、セブンを襲った。

 
 セブンは瞬時に積層の剣舞を発動し、

 尖った岩先を両剣で砕き、その先端へと飛び乗って乗り越える。

 
 少し遅れセブンの後ろには彼を追う二つの人影があった。

 
 再度詠唱を始めた魔法使い達に無数のナイフが猛然と襲いかかる。

 
 ピエロの魔法、ナイフワルツであった。

 
 彼等はセブンを攻撃するのを止め、急遽自分を守る魔法へと切り替える。

 
 そこへ二人の剣士が迫る。

 
 その速度は人の速さでは無かった。

 
 魔法使いの天敵であるセブン、ウルブスによる積層の剣舞。

 
 敵が詠唱を終える前にこの魔法を使えるたった二人の剣士が魔法使い達の集団に襲いかかり、

 瞬間的に敵を切り伏せたのだった。

 
 この三人により一瞬で城下は制圧され、

 セブンは自軍に向け剣を振り、合図を送った。

 
 その一連の圧倒的な強さを見ている事しか出来なかった城塞防衛軍は我に帰り、

 全軍で橋に向かい走った。


ジェノス
「なんて奴等だ!凄すぎるぜ!」

スピア
「強すぎる。魔法使いは皆ああなのか?」

エイブルス
「それは違う。あいつらは別格だな」

サジ「…あの剣は…」

 
 華國の魔法使いはたった七人で二万からなる煌皇軍第一陣から城塞を守るだけでなく、

 戦線を押し込んだのだ。

 
 全ての華國軍は彼等のあまりの強さに驚き、認めるしかなかった。

 
 あの七人は我々の想像を越えていると。

 
 それは煌皇国側でも同じ事であった。

 
 彼らを一個師団以上の力を持つと考え、

 ボーワイルドとフェネックの両将軍はただの制圧戦という考えから、

 決死戦であると考えを切り替えたのであった。

 
 ボーワイルドは今までとは配置を変え、装備の薄く、訓練度の低い部隊を前線へと送る。

 非情にも消耗戦へと作戦を変更せざる終えなかったのだ。





 

 
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