『華國ノ史』
 ピエロとセブンはキース商団の馬車に揺られ港街を目指す。

 
 街道沿いの宿場町に3つ程立ち寄った。

 
 いつも酒場の前でピエロが曲芸を行い、セブンは帽子を持って小銭を集めた。

 
 ピエロは酒場で情報を集め、セブンはナイフを自在に動かす魔法、ナイフワルツの練習をしていた。

 
 3つ目の町の酒場で客のフォークとナイフが踊った時はピエロは驚いた。


「凄いな!たった3日で!

 他人の持ってるナイフも動かすなんてどうやったんだ?」


「ピエロとおんなじさ。
 
 脅してみたんだ」


「へー?よっぽどこの魔法と相性が良かったんだな。

 俺もやってみよ」

 
 自分の得意魔法を3日で昇華されたので悔しかったようだ。


「もっと教えてよ」


「魔法っていうのは数を覚えるんじゃなく、応用法を覚えるんだ。
 
 その方が戦闘では役に立つ。

 
 それにそのナイフワルツは極めれば暗殺が容易く出来るぞ」


「そんな事には使わないよ」


「当分はそうだろうな、お前の事なら、だから教えた。

 
 こんなに早く覚えるとは思わんかったが、

 
 そのうち必ずお前を助けるだろう、

 
 ただあまり人に見られるなよ?」


「何で?」


「とっておきは、とって置いとくからとっておきなんだよ」

「へー」


「踊る炎だっけか?でも練習しとけ」

「踊るやつばっかりだ」

「2つだけだろ、生意気ゆーな」

「ハイハイ先生」

 セブンは炎の小人をいくつも出したので酒場が危うく火事になりかけた。


「やっぱネズミにしとけ」

 

 

 
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