『華國ノ史』
 セブン等一行が目的地に近づくにつれ、

 道脇に水晶が突起し出していた。


 ここまで来れば彼女が大魔法使いである事が誰にでも解った。

 
 眼前の山一面に大小様々な水晶が山肌が見えぬ程に突出しているのだ。


 これは全て彼女が作り出した物であると伝えられている。

 
 初めて見る者はその姿に驚きを隠せないでいる。

 
 この中には何かある、とそう考えるのが普通であろう。

 
 多くの者がこの山に入って行くが、知らずに多くの者は外へと出ているのだ。


 ある盗賊団は食料を運びこむ近くの村人に地図を書かせたが、

 それでも辿り着く事が出来なかった。

 
 腹いせに水晶を持って帰ろうとした盗賊団をその後見た者はいないそうである。

 
 中に入ればその理由が分かる。

 
 通路の様な山道に入れば磨かれた水晶が鏡の様に乱立し、方向感覚をうばう。


 かといえば曇り一点も無い水晶が見えない壁として立ち塞がり皆は、痛めた鼻を擦るのだ。


 水晶の迷宮はその山の主の断りが無いと決して攻略する事は出来ない。


 実際に大魔女の隠れ家は今も見つかる事無く、

 只の噂では無いかと言われている程であった。

 
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