『華國ノ史』
 ずっと鉱石ばかり見てきた者の目を奪うかの様な光景が広がっている。


 ゆたかそうな土、蒸せかえる草、古い井戸、レンガ造りの家、実のなった木。


 そこに来た者が子供の頃に想像した幸せそうな生活がそこにあった。


 一人の老婆が家の外にある椅子で揺らされている。


 目を細めこちらを伺っていた。

 
 セブンはこの風景に心奪われながらも礼儀正しく挨拶をした。

 
 老婆は椅子の側に立て掛けてある杖に体重を預け、セブンに近づいて来た。


 通常なら周りの者が止めに入るのだが、

 この老婆には一切敵意が無い事が感じ取れた。


老婆
「ようこそ星の王子とその仲間達よ」

セブン
「あなたは水晶山を統べる大魔女様ですね?」

老婆
「統べる?大魔女?

 ハーハッハッハッハッハ!

 やはり何も知らぬと見える。

 それも仕方ない事だ。

 私は只の復習者!

 歓迎しましょう貴女方を!

 やっと煌皇に一矢報いる時が来た!

 時が来たのです。

 
 水晶球の占いを信じて耐え忍んだ甲斐があった。

 期待通りに力は貸しましょう。

 ただし、私に利用されるというのならばの話だが?」

 
 この穏やかな雰囲気に似つかわしく無いまくし立て方の魔女にセブンは驚いていた。

セブン
「利用ですか?」

老婆
「言い方が悪いか…まあ、気にせずとも良い。

 
 一つ約束を守ってくれればそれで事は足りる。

 今は力を貸そう。

 それを見よ」

 
 老婆が指す水晶の鏡には拡大された煌皇軍がいた。

老婆
「ここへ向かっておるぞ?ヒヒヒ。

 あまり時間は無い!

 レッツ迎撃!」

 

 
< 198 / 285 >

この作品をシェア

pagetop