『華國ノ史』
 適当な宿屋で馬車を下り、キース商団と別れを告げた。

 ピエロは宿屋の主人と交渉しているようだ。

ピエロ
「って事でここにも嫌疑がかかってる」


宿屋主人
「そんなーうちは関係無いですよ」

ピエロ
「調査するからタダで泊めろ」


宿屋主人
「そんな事言ってそれが目的なだけでしょ?
 
 
 内調なら政府施設に行けば良いじゃないですか?」


ピエロ
「あそこは嫌いなんだよ。

 なんだ?

 何かやましい事がやっぱりあるんじゃないか?

 
 あと反国家非協力罪って知ってるか?」

宿屋主人
「分かりましたよ、1日分だけですよ?
 
 こっちも生活かかってるんだから」


ピエロ
「仕方ない、あとこの子に魚料理を、俺は仕事に行ってくる。

 
 風呂を沸かしといてくれ」
 
 宿屋の主人はぶつくさ言いながらセブンを手招きしながら奥へと消えた。

セブン
「嘘ついてた?」

ピエロ
「ついて無かった。

 けど内調の隠れ家は自炊でな、面倒くさいんだよ
 
 ほれ魚食べといで、その後は海に行くんだろ?」

セブン
「ピエロも行こうよ」

ピエロ
「仕事だ。夜遅くに帰るから先に寝とけ」

セブン
「ふーん」
 
ピエロ
「いつもの元気はどうした?」

 
 セブンは家を出てからはピエロから離れた事が無く、寂しくなりピエロの足に抱きついて一緒に行くと言い出した。


ピエロ
「ネズミのピエロンがいるだろう?

 明日一緒に海行ってやるからっな?」



セブン
「じゃあ今日は海見ない、明日一緒に見よ」

 
 ピエロはセブンの頭を掻き乱し、「約束する」と言ってトランクを片手に宿屋を後にした。

 
 誰かに好かれるのも悪くは無いとピエロは思った。
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