『華國ノ史』
 キュバインは援軍に来たセブン達の前に一騎で躍り出た。


キュバイン
「我が煌皇国五大将軍が一人!

 
 武を極めし者キュバインだ!

 
 王都の復讐を望み、我と戦う命知らずはおらんか!」

 
 凄まじい声だった。

 その声は多くの者を震え上がらせる。

 
 しかし、一切動じない男が一人、整然と前に出る。


セブン
「ウルブス!」


ウルブス
「セブン、ここでお別れです。

 彼は強い。

 何とか相討ちにまでは持っていきます。

 
 せめて手傷だけでも、その後に数名で討ちなさい。

 後の禍根を断っておくのです」


セブン
「お別れ?駄目だ!

 何で!そんなの絶対に駄目だ!

 僕が戦う!」

 
 ウルブスは優しい目をしていた。


ウルブス
「背骨は曲がり始め、目も悪くなって来た。

 
 日に日に疲れは取れず、食べる量も少なくなってきました。

 
 今が私の最後の見せ場。

 
 今で無いと駄目なのです。

 
 日々安穏と暮らすよりも、今、最後の火を燃え上がらせたい。

 
 試したいのです、自分の力を。
 
 
 最後の時を華々しく飾りたい。

 
 技が衰えきる前に皆に見せておきたい。

 
 最後のその時に戦っておけばと後悔したくない。

 
 そんなわがままな人間なのですよ。

 セブン、

 カトリ、クロネ、

 ミニッツ、セコンド。

 あなたは方は良き友、

 良き教え子、良き家族でした」

カトリ
「嘘だ!あいつが強いから!」

クロネ
「私達を守る為に命と引き換えにするのね?」

 
 ウルブスはもう一度皆に優しく笑いかけたと同時に剣を抜き振り向いた。
 
ミニッツ&セコンド
「ウルブス…」

セブン
「…でも、やっぱり嫌だ!」

ウルブス
「セブン。

 しっかり見ておきなさい。

 最後に教えるのは、

 命を投げ出すのに惜しくない者達がいる者の強さです」

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