『華國ノ史』
 闇商人一斉検挙の知らせは直ぐに街中に広まったが、表向きにはピエロがやったとは広まらなかった。


 ピエロとセブンはなに食わぬ顔で街の広場で芸を見せていた。

 
 流石に主要都市なだけあり、ピエロのハットは直ぐに小銭で一杯になった。


 だからセブンは何度も帽子の中身を大きな袋に移さなければならなかった。


セブン
「ないちょうより儲かるね」

ピエロ
「そんな事はな…くもないけど、重要な仕事なんだよ」

 
 ピエロが曲芸をするのは人を集める為であった。

 
 そこから歪んだ顔を探し出すのだ。


「セブンは将来なんになる?」

「海!」

「海は難しいな~」

「じゃあピエロと一緒にないちょうやるよ、面白いから」


「オススメはしないねー、自国民から嫌われるぞ?」


「じゃあ一緒に農家やろうよ」


「まあ功績があったら老後は可能だろうけどね」


「魔法で農業出来ないかな?」


「盲点だったな、研究としてはありかもよ、
 
 
 魔法での農産物の発育改善実験とか」


「やっぱ難しそうだからいいや」


「まー焦ることないか、魔法都市で答えを探せばいいさ」


「ピエロはピエロしたかったの?」

「成り行きだな」

「なんだーピエロもあんま考えてないじゃん」


「考えてたけど、こっちの方が向いてるんだよ」


「じゃあ何になりたかった?」


「うーん。新しい魔法の研究員かな?

 
 ナイフワルツも俺が考えたんだぞ!」


「踊る炎を作った」


「そーだったな…しかもその年齢でな、負けたよ」

 
 特に怪しそうな人物が見当たらなかったので二人は店じまいを始めた。










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