『華國ノ史』
崩れる天秤
トリート率いる山脈勢力軍は高塔砦へと進み、煌皇軍は渓谷南へと撤退していった。
砦の中は死屍累々といった惨状で、
名のある華國兵士は誰もが勇ましく戦い抜いた後が見れた。
トリートは焦り、兄を探すが見つからない。
(おかしい、兄さんなら前線にいるはずなのに)
探し回るトリートに「リンス王子、見晴らしの高塔の屋上で発見」との報があった。
塔の上へと続く螺旋階段にも激戦の模様が見て取れた。
独立魔法部隊三強である王華隊、虎華隊、華龍隊も魔力が尽きたのであろう、
武器を手に取り目を見開いたままそこで息を引き取っていた。
死しても尚襲いかからんばかりの形相である。
見る限り、その何倍もの敵を食い止め息絶えた英雄達にトリートは頭の下がる思いだった。
嫌な汗を流しトリートは屋上への階段までたどり着く。
空へと続く狭い出口からは日の光が差し込んでいた。
もう、想像は出来ていた。
しかし、覚悟は出来ていなかった。
それでも進まなくてはならない。
トリートは光に向かって最後の階段をまた登り始めた。
砦の中は死屍累々といった惨状で、
名のある華國兵士は誰もが勇ましく戦い抜いた後が見れた。
トリートは焦り、兄を探すが見つからない。
(おかしい、兄さんなら前線にいるはずなのに)
探し回るトリートに「リンス王子、見晴らしの高塔の屋上で発見」との報があった。
塔の上へと続く螺旋階段にも激戦の模様が見て取れた。
独立魔法部隊三強である王華隊、虎華隊、華龍隊も魔力が尽きたのであろう、
武器を手に取り目を見開いたままそこで息を引き取っていた。
死しても尚襲いかからんばかりの形相である。
見る限り、その何倍もの敵を食い止め息絶えた英雄達にトリートは頭の下がる思いだった。
嫌な汗を流しトリートは屋上への階段までたどり着く。
空へと続く狭い出口からは日の光が差し込んでいた。
もう、想像は出来ていた。
しかし、覚悟は出来ていなかった。
それでも進まなくてはならない。
トリートは光に向かって最後の階段をまた登り始めた。