『華國ノ史』
トリートが階段を登るとそこには先に入った多くの華國兵が皆片膝を地につき頭を下げていた。
その中心にいたのは立ったままに絶命していたリンスであった。
誰もが一目でリンスの最後がどれ程の戦いであったかと想像し、
涙を流しすすり泣いた。
兜の角は折れ。
皆が目を奪われた金髪は血で固まっていた。
喉や、間接には矢が無数に刺さり、胸を投げ槍が貫いている。
鎧のあちこちが砕け、リンスの足元には血が広がっている。
それでもリンスは優しくトリートに微笑みかけていた。
両手にはこんな状態になっても尚、力強く旗を持っていた。
右手には獅子と華があしらわれた自分の旗を。
左手には華國の国旗を握りしめていた。
強い風が塔の屋上を吹き抜け、リンスの左手の旗がはためき離された。
トリートはそれを受け止める。
周りに居たものはその光景に目を奪われた。
獅子王子の意志が銀狼王子へと受け継がれたかの様に見えた。
「あなたを支える為に生きて来たのに。
これは私には重すぎる。
私は貴方の様に強くはなれない」
トリートは下を向き泣いた。
「お支えします!」
「私も命をかけお守り致します!」
次々に周りの兵が声を上げた。
リンスの思いを皆が受け止め、伝説の様な最後に多くの者が触発された。
トリートは旗を預け、リンスの兜をそっと取ると膝をつきそれを被った。
それと同時に倒れるリンスを力強く受け止めたトリートの目には今までに無い力がみなぎる。
周りの者が皆忠臣であることが何故かわかった。
心震わせ泣き、復讐に燃えている事が感じられた。
この時、彼に王家の血が覚醒したのだった。
その中心にいたのは立ったままに絶命していたリンスであった。
誰もが一目でリンスの最後がどれ程の戦いであったかと想像し、
涙を流しすすり泣いた。
兜の角は折れ。
皆が目を奪われた金髪は血で固まっていた。
喉や、間接には矢が無数に刺さり、胸を投げ槍が貫いている。
鎧のあちこちが砕け、リンスの足元には血が広がっている。
それでもリンスは優しくトリートに微笑みかけていた。
両手にはこんな状態になっても尚、力強く旗を持っていた。
右手には獅子と華があしらわれた自分の旗を。
左手には華國の国旗を握りしめていた。
強い風が塔の屋上を吹き抜け、リンスの左手の旗がはためき離された。
トリートはそれを受け止める。
周りに居たものはその光景に目を奪われた。
獅子王子の意志が銀狼王子へと受け継がれたかの様に見えた。
「あなたを支える為に生きて来たのに。
これは私には重すぎる。
私は貴方の様に強くはなれない」
トリートは下を向き泣いた。
「お支えします!」
「私も命をかけお守り致します!」
次々に周りの兵が声を上げた。
リンスの思いを皆が受け止め、伝説の様な最後に多くの者が触発された。
トリートは旗を預け、リンスの兜をそっと取ると膝をつきそれを被った。
それと同時に倒れるリンスを力強く受け止めたトリートの目には今までに無い力がみなぎる。
周りの者が皆忠臣であることが何故かわかった。
心震わせ泣き、復讐に燃えている事が感じられた。
この時、彼に王家の血が覚醒したのだった。