『華國ノ史』
 しかし、ブレイランドも未だにピエロを完全に信用したわけでは無かった。


 少しばかり恵まれた獄の中での情報提供を求めたのだ。


 ピエロは魔法ナイフワルツを使い、看守を困らせた。


「気に入らない、もっと待遇を」と

 
 困った執政官は逆人を見張りにつかせたのだった。

 
 魔法を封じられたピエロは檻の柵に近づき大声で逆人を挑発した。


「魔人のハーフなんだろう?誇りはないのかい?

 こんなジメジメした場所でさー?

 
 道化の悪口を聞いててそれが君の人生なわけ?

 
 嫌われて、使われて、馬鹿にされるのが好きなのかい?

 
 そういう人種なのか、ああ、人種じゃないか!

 
 人造人間ていうんだな。

 
 自然の摂理に沿ってないから気にもしないのか?」

 
 さすがの看守もピエロに困らされていたのに加え、

 逆人という厄介で恐ろしい種族と一緒に仕事をしていたので頭に来ていた。


「おい!檻に入って黙らせろ!」

 
 待ってましたとばかりに逆人は檻を開け、怒りのこもった表情で内側から鍵を閉めた。


「喋れる程度にしとけよ!」

 そう言った看守は外に出て、誰かに虐待がバレぬ様に見張りに立った。


「覚悟しろよ、こっちも色々限界なんだ」


「ふー、やっとここまでたどり着いたか。

 おい、お前。早くその刺青を見せろ」

 
 急に態度の変わったピエロに逆人もなにかを思った。


「お前、何者だ?」

「おお、話の分かる奴で良かった。

 俺はピエロ、お前達を解放しに来た」
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