『華國ノ史』
 セブンはこの探索にピエロ、南の情勢に詳しいジェノス、警戒心の強いグットマンを選んだ。

 これにスピアと、興味津々のレアが志願した。

 
 更に対悪魔戦にサジと教会騎士数名が続く。


 一行は指揮をエイブルスに委ねると、

 崖に縄梯子を掛けて地下とも取れる地上を目指す。

 
 草木が粘土で作られた家屋を飲み込むこの街跡にも戦闘の痕跡が多く残されていた。


 そこかしこに白骨が転がり、異様な空気が淀んでいた。


 グットマンはコボルト特有の良く効く濡れた鼻で辺りを警戒し、

 雪狼族のレアは屋根に上り辺りを警戒した。


「多分あそこだ」

 セブンはキルキスから託された地図を頼りに月の礼拝堂と言われる場所を発見する。

 
 それは街の外れにある寂れた宗教施設であった。


 丸いドーム状の白い粘土の壁。

 
 目印となる月のオブジェと白の石碑。

 
 皆で石碑の裏を少し掘ると石の扉が現れる。


 それをレアが軽々と持ち上げると中からは涼しい風が吹いた。


 階段は奥へと続いている。


 セブンは小さな踊る炎を出すと中へと進んで行った。


 階段は途中で止まり、開けた空間へと出る。

 
 そこには祭壇が中央に配され、回りを水が囲んでいた。


「その水には触れるなよ」


 ジェノスの忠告は正しかった。

 
 それは未だに毒に侵されていたのだ。

 

 

 
 
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