『華國ノ史』

ビックオズ上陸戦(前編)

 不運にも大翼将軍ゼレイドは、空を駆けるワイバーン部隊を率い第一団を狙った。


 しかし、相性が悪すぎた。


 高位の風魔法の脅威を高塔砦で味わったゼレイドは即時撤退する羽目になる。


 ゼレイド等を発見するや否やトリートはカトリの乗る船を囲むような陣形を組む。


 当然の如くゼレイドはこれにトリートが乗っているものと思い込み果敢にも襲撃を掛けた。


 しかし、回りの艦隊から一斉に中央の船を目掛け矢が飛んだ。


ゼレイド
「愚かな!!

 自軍の船に弓を引くとは余程我等が怖いらしい!」


 しかし、直ぐに異変に気付く。


 船を囲う様に波が高くなっているのだった。


 それに気づいたゼレイドは焦る。

ゼレイド
「いかん、引けー!引き返せ!」


 しかしゼレイドの声を消すように華國軍は戦いの声を叫んでいた。


カトリ
「天を目指し逆巻きうねれ、

 我等を守るは荒らぶる暴風の天災。

 巻き込め、砕け!


 『風蛇の胸壁』 」


 呪文を唱え終わるとその場にへたりこむ程の魔法。


 それは襲いかからんとするワイバーンを風で揺らすと、

 直ぐに大きな竜巻が生まれ船を囲んだ。


 周りから放たれる矢は風に巻かれ、飛行能力を失い叫ぶワイバーンに容赦無く襲いかかり改心の大打撃を与えた。


 逃げた者はキルキスの月魔法に襲われ、

 逃げても逃げてもそれは追ってくる。


「狙われていたのはこちらだったか

 ボーワイルドの話を聞いていれば」


 ゼレイドは一瞬で決したこの戦いで軍罰を覚悟し、

 二度と単独では動くまいと決意した。


 
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