『華國ノ史』
ゼレイド
 「私なら、ね」

 ゼレイドはこのまま男の言うなりに煌皇は滅ぶとは考えられなかった。


ボーワイルド
「勝ちたいか?」 

 ゼレイドは男の真剣な眼差しを受け、たじろいだ。

ゼレイド
(老いた者に恐れを抱くとは私も臆病風に吹かれたか?)
「勝てるものならな」


ボーワイルド
「そう、勝てるなら。

 勝てるべくして勝つ。

 しかし、奴等はそれをひっくり返した。


 煌皇の油断に漬け込み、我々は勝機を逃した。

 物量に劣る訳ではない。


 彼等もまた必死。

 簡単には勝てまい。

 
 人も華國に劣らぬ傑物もいる。

 ここで止めねばならん。

 キュバインに次ぐ猛将ならばどう動く?」


 ゼレイドはキュバインの次にという言葉が勘に触った。


ゼレイド
「奴に劣る訳ではない」


ボーワイルド
「だから、生きてここにいる。


 だから、生き残った者としてどうすると聞くのだ。


 防衛なら後方撹乱が貴殿の役目だったが、亡国の危機、敵は海路を来る。


 後方は海だ。

 
 今や大陸一の武将はどうすると聞いている 」


ゼレイド
「全く、焚き付けるのが旨いじいさんだ。

 
 やってやるよ、大翼に相応しく。

 
 強襲の名に恥じぬ戦歴に残る程に」
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