『華國ノ史』
 煌皇国は一丸となり戦うという華國とは違い、
 
 各所から志願兵が多く集まる事は無かった。


 領主の横暴と厳しい税金、支配国というレッテルが強かった為でもある。


 華國の同化政策、煌皇は統制政策の違いが表れたのあろう。


 しかし、集まった多くの財源は傭兵と兵器を集めた。


 徴兵も行い、正に総力戦を挑むのであった。


 華國艦隊の半数を集めたビッグオズ防衛陣は決戦に備え皆が良く働いた。
 
 
 ボーワイルドは木柵の前に穴を掘り、海を引き込んだ。


 陣形は更に入り組ませ、高台を要所に設置し、多くの罠を仕掛ける。

 
 防衛に徹したボーワイルドの策により、


 ビックオズの浜辺は難攻不落の上陸地と化したのだ。


 それは昼夜を問わず行われ、上陸戦間際まで掛かった。


ゼレイド
「いささか、臆病なのでは?」


ボーワイルド
「年をとり、

 力の無い私なりの武力が策だ。


 だからここまで生き残った。


 やり過ぎる事にこした事は無い」


ゼレイド
「ふむ、いささか敵が気の毒だ。

 これでは尻尾を巻いて逃げ出すでしょうな」


ボーワイルド
「ならば良いが。

 まだ不安はある」


ゼレイド
「敵の陸戦軍ですか

 なに、風使いさえいなければ容易いもんです」


ボーワイルド
「キュバインも同じ事を言っておった。


 フェネックは油断しなかったのにも関わらずな。」

 
 この時、ゼレイドはまだ相対せぬ華國の英雄の事を過小評価していたのだった。



 
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