『華國ノ史』
 主に帝都の守衛を勤める者達がいた。


 戦場では本陣に配され要人の守護者となる。

 
 その重装備と大盾故に機動性が無く、前線に出る事が少ない彼等は体格が良かった。


 常人ではその分厚い鎧を着込み立つのすらやっとであった。

 
 人々は彼等を暴徒鎮圧の鬼、帝都の防人と呼んだ。


 街の治安維持を兼ねていた彼等の旗印は一つの目である。


 前線に投入されなかった彼等はほとんど無傷の状態であった正規軍であった。


 その為、ここに華國第三団を止めるべくボーワイルドによって配されたのである。


 もう一方の兵力

 
 崇煌五家老は政務や財政に大きな影響力を持った皇帝の助力者であった。


 他の貴族を束ねるだけの力を有し、煌皇国の均衡を保っている。


 それぞれが独自の兵を常備していたが、彼等もまた前線に出る事は無かった。


 彼等の感心は保身と派閥の勢力図であった。


 しかし、この亡国の危機にボーワイルドからの要請もあり、その重い腰をあげたのである。


 彼等はこの戦いで戦果を上げ、その地位を確約する為に出兵する事にしたのだ。


 私財を使い傭兵を雇い、奴隷を集め、

 武器を揃え、野望を胸に街へと入った。
 

 
 ここまでほぼ兵力を失わなかった華國第三団兵力一千。

 それに対し巡礼の廻廊に集められた煌皇軍二千。


 更に街にいた民兵を入れると二千五百。


 
 ボーワイルドが第三団を止めるのに必要だと叩き出した数字であった。
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