『華國ノ史』
 ゼレイドはボーワイルドの考えという物を華國軍が来る前夜に知る。


 かつて煌皇国を最も苦しめた種族。

 
 逆人の種となった魔人の援軍であった。


 その数九名。


 煌皇国領内の島で厳しい監視付きで幽閉されていたのだ。

 
 彼等もまた逆人と同じ様に刺青を入れられ鎖で繋がれていた。


 ボーワイルドは戦いに参加すれば自由ばかりか、領地を授けると約束し彼等を放ったのだ。



ゼレイド
「危険過ぎる!

 華國に味方すれば益々危うい、

 そもそも彼等は我々を憎んでいる。


 手を貸す気などありはしない!」


 ゼレイドは彼等の無念を知っていた。

 そしてその実力も。


ボーワイルド
「毒でも飲まねば勝てぬ戦だ。

 
 協力せねば幽閉は終わると伝えてある。

 
 魔人は滅びを選ぶか、一握の希望にかけるか。


 我々は彼等が自暴自棄にならず、

 希望を捨てない事を祈るしかない」



「勝ち取るさ」


 二人が振り向くと拘束を抜け出した魔人が笑い、立っていた。
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