『華國ノ史』
 最上階、クラッシュの名札が付いた重々しいドアをウルブスが叩いた。

ウルブス
「セブン殿をお連れ致しました」

「入ってください」

 ウルブスに連れられ、嫌々セブンが部屋に入ると椅子が2つ並べられ、片方には見た顔があった。

 
 セブンが殴りかかった長髪の少年だった。

 
 クラッシュに散々叱られたのであろうか目を細めムスッとした顔立ちである。


ウルブス
「私は外で待っております」

クラッシュ
「いや、いてください。

 セブン、座りなさい」

 セブンは長髪の少年を睨みながら空いている椅子に座った。


クラッシュ
「セブン、もう許してやれ、だいぶ懲りたみたいだぞ?

 カトリ謝りなさい」

 セブンは名前まで嫌いな出っ歯のカトルにそっくりだと思った。

カトリ
「からかって悪かったな」

クラッシュ
「セブンもいくらクロネや自分を馬鹿にされたからって、少しやり過ぎただろう?

 
 凄い魔法を覚えて見返せば良かったんだ。

 
 ましてや簡単に人の前歯を折っちゃいけないんだ分かるか?」

 
 セブンはポケットから以前折った前歯を出して見せた。
 
 
 それを見たカトリはギョッとした。

セブン
「兄弟やおじいちゃんは誉めてくれたけど」

カトリ
「家族に問題があるんだな」

 
 セブンはマッチの如く一気に燃え上がり椅子を飛ばした。

 
 カトリを殴ろうとしたが、ウルブスが老人とは思えないスピードでそれを制した。


セブン
「家族を馬鹿にしたな?決闘だ!」

クラッシュ
「今のは認めよう!

 家族を馬鹿にされては黙ってはいられんだろうからな!

 カトリ!

 全く懲りていないようだな、決闘を受けろ!

 
 勝っても、負けても厳罰を与えるからな!」

カトリ
「くそったれ!

 チビ!ほえずらかかせてやるぜ」

 もうセブンは怒りに我を失いかけていた。


 




 

 
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