『華國ノ史』
 クラッシュに連れてこられたのは城の外にある闘技場であった。


 魔法使いが自分のレベルに合わせた相手と戦い訓練する場所でもある。

 
 魔法使い同士の決闘では通常の魔法は一切禁止される。

 
 戦いに使う魔法の多くは対象者を即死に追いやるからであった。

 
 その為、力比べの場合はあるものが使われる。

 
 セブンとカトリは一対のグローブを渡された。


クラッシュ
「魔力をある痛みの魔法に変換し、魔法球を作り出すものだ。

 
 このグローブに魔力を注げば簡単に飛ばせる事が出来る。

 
 魔力によって威力が代わるが、死ぬことは無い、だが痛いぞ?」

 
 セブンは怒りが収まらない様子でグローブを早々に着けた。

 
 クラッシュはあきれて鼻息を出し魔法を唱えると、

 闘技場の地面が隆起し、腰の高さまでの土のバリケードがいくつも現れた。


クラッシュ
「二人とも開始位置に立て始めるぞ!礼をしろ」

 
 セブンはやる気まんまんで身構えた。

 
 カトリは余裕の様子で手を何度かひるがえし、大げさにお辞儀をした。


クラッシュ
「セブン!礼をしろ!」

セブン
「嫌だ!」

クラッシュ
「しなければ戦わせずお前の負けにするぞ!」

 セブンは少しだけ頭を傾けた。

クラッシュ
「ウルブス殿、この先大変ですな?

 …いくぞ?初め!」

 
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