『華國ノ史』
 疲れきった医療班に別れを告げ、セブン、ウルブス、カトリの三人はこれから暮らす宿舎へと向かった。

セブン
「あれ?あの綺麗な所じゃないんだね?」

ウルブス
「無知なる者の止まり木は学舎ですから、

 今期の通過者が過ごすのはここですよ」

カトリ
「嘘だろ?ボロボロじゃないか」

ウルブス
「占いで決まるんですよ。

 それと歴史あると言って頂きたいですな」

セブン
「何あれ?リス?」

 セブンが見ているのは踊っている笑顔の可愛いカピパラの銅像だった。


ウルブス
「あれはカピパラ、ここのシンボルです。

 ようこそ多くの有名な魔法使いを産み出した

 『笑うカピパラ寮』へ!」

カトリ
「俺は貴族だぞ!

 ネーミングセンスの欠片もないこんな汚いと、こ…ろではないですね!」

 
 睨みを効かせたウルブスを見てカトリは態度を変えるしかなかった。

 
 当分カトリはウルブスに逆らえそうにない。

ウルブス
「宜しい」

 笑うカピパラ寮は二階建て6部屋、共同キッチン1つ、共同トイレ2つ、共同風呂2つ、地下倉庫があった。


 街の一番端にあり、万年緑に囲まれている実は人気の寮だった。


 人気の理由はこの一体が静かであるのと、唯一他の寮と違い緑に恵まれている事。


 焼いた木材を使った黒い壁、煉瓦の垣根、小さな庭もあり、雰囲気がとてもある建物であった。


クロネ
「けどね、一番の理由はここを出身とする有名な魔法使いが多いってことよ。


 私の憧れの水晶山の魔女もこの寮で暮らしたんだって」

 
 先に入っていた赤髪のクロネがテーブルに座り教えてくれた。


ウルブス
「さあ、さあ静かに」

 皆はお喋りをやめて口を閉じた。

ウルブス
「宜しい、では自己紹介を、

 
 私は皆さんが無知なる者の止まり木を卒業するまでの間お世話をさせて頂くウルブスと申します。

 
 この寮で生活する上で以下注意点をしっかり守って頂きます」


 それは彼等が卒業するまでずっと守り続けた約束であった。

 
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