『華國ノ史』
セブン達三人兄弟は村の子供達から疎まれ、恐れられていた。
長男トールは荒くれ者で、頭が良く、直ぐに悪戯をしてくるし、次男のマッチョは力が強く、お菓子をことごとく奪っていったからだ。
セブンはいつも兄達のせいで周りから苛められそうになったが、良いところで兄二人が飛んで来る。
それにセブン自身いつも兄達に引っ張り回されていたので同年代の中ではそれなりに強かった。
ある時、村の子供達は中々手が出せない三兄弟の悪口で盛り上がり、ある計画を立てた。
彼らは我が物顔の三兄弟をコテンパンにするべく小石を持って道端の草むらで待ち伏せをし奇襲を仕掛けようというものだった。
そうとも知らずいつもの様に三人が陽気に今日は何をするか話しながら青草のしげる一本道を歩いてきた。
そして号令と共に待ちきれなかったとばかりに三兄弟めがけて一斉に石の雨が降らされる。
さあ怒り狂った三人が来るぞと棒切れを構える子供達。
しかしトールの逃げろの一声で三人は意思が通じあったかの様にバラバラに逃げ、行方をくらましてしまった。
子供達は拍子抜けし、三方向に別れて走り去る彼等の誰を追うかを咄嗟に決められずまんまと逃げられてしまった。
夕方まで、三兄弟を村中探したのに見つからず、あの三人がこれで懲りるだろうかと若干不安に思いつつ、各々は家へと仕方なく帰って行った。
心配したのは三兄弟の両親だった。
いつもなら泥だらけになり、お腹を空かせて競争する様に走って帰って来る時間はとっくに過ぎている。
祖父と三人で村を探しに行く途中直ぐに、まとめて兄弟を見つける事が出来た。
三人は一様にたんこぶを作り、シャツはボロボロで怪我だらけだった。
三人は襲撃後バラバラに逃げたが、三人共同じ行動をとっていたと分かり、笑って肩を抱え合いながら歩いてきたのだった。
彼らは三方に逃げた後、夕方まで森に身を潜め、襲撃してきた子供達が家に帰った頃を見計らい、決闘を申し込んで歩いたのだ。
この娯楽の少ない時代、喧嘩は一種の楽しみであり、親は嫌がる自分の子を無理矢理決闘を申し込んできた三兄弟の一人と一対一で戦わせたのだった。
トール
「俺は五件潰した、計10人だ。
しかも年長からやってやったぞ!」
マッチョ
「やるなー兄さん!俺も五件、全部で八人だ」
二人以上にセブンは傷だらけだった。
トール
「セブン、お前は負けたのか?」
セブン
「僕はネズミの前歯を折った」
セブンの小さな手の平には赤い血の付いた歯が一本大事そうに布の上に置かれている。
トール
「俺でも七分三分のネズミのカトルをやっつけたのか?
実はあいつは三人でやっつけようと思ってたんだけど」
セブン
「多分負けたけど、でも泣かしてやったよ。
僕は…僕は泣かなかったけどね」
セブンは目を真っ赤に張らして笑った。
マッチョ
「…ふーん?いつも泣いてるお前が?
じゃあ、お前の勝ちだ!
あの出っ歯結構強いのに…お前すげーな!」
トール
「マッチョ…、そうだな!大将とった奴が一番偉いんだぞ!
良くやったセブン!お前が一番だ!」
立つのもやっとなセブンを兄二人はしっかりと支えてやった。
三人は喜んでいたが、両親にはきつく怒られた。
しかし祖父はセブンにこっそり「宝物が出来たな?」と囁く。
セブンはにっこり笑い出っ歯だったカトルの歯をポケットに詰め込み、本当は泣いてしまった事は内緒にしてしまった。
翌日にはこの喧嘩話が村中の噂になり、大人達をも感心させた。
それからはもう三兄弟に手を出す者はいなくなったのだった。
長男トールは荒くれ者で、頭が良く、直ぐに悪戯をしてくるし、次男のマッチョは力が強く、お菓子をことごとく奪っていったからだ。
セブンはいつも兄達のせいで周りから苛められそうになったが、良いところで兄二人が飛んで来る。
それにセブン自身いつも兄達に引っ張り回されていたので同年代の中ではそれなりに強かった。
ある時、村の子供達は中々手が出せない三兄弟の悪口で盛り上がり、ある計画を立てた。
彼らは我が物顔の三兄弟をコテンパンにするべく小石を持って道端の草むらで待ち伏せをし奇襲を仕掛けようというものだった。
そうとも知らずいつもの様に三人が陽気に今日は何をするか話しながら青草のしげる一本道を歩いてきた。
そして号令と共に待ちきれなかったとばかりに三兄弟めがけて一斉に石の雨が降らされる。
さあ怒り狂った三人が来るぞと棒切れを構える子供達。
しかしトールの逃げろの一声で三人は意思が通じあったかの様にバラバラに逃げ、行方をくらましてしまった。
子供達は拍子抜けし、三方向に別れて走り去る彼等の誰を追うかを咄嗟に決められずまんまと逃げられてしまった。
夕方まで、三兄弟を村中探したのに見つからず、あの三人がこれで懲りるだろうかと若干不安に思いつつ、各々は家へと仕方なく帰って行った。
心配したのは三兄弟の両親だった。
いつもなら泥だらけになり、お腹を空かせて競争する様に走って帰って来る時間はとっくに過ぎている。
祖父と三人で村を探しに行く途中直ぐに、まとめて兄弟を見つける事が出来た。
三人は一様にたんこぶを作り、シャツはボロボロで怪我だらけだった。
三人は襲撃後バラバラに逃げたが、三人共同じ行動をとっていたと分かり、笑って肩を抱え合いながら歩いてきたのだった。
彼らは三方に逃げた後、夕方まで森に身を潜め、襲撃してきた子供達が家に帰った頃を見計らい、決闘を申し込んで歩いたのだ。
この娯楽の少ない時代、喧嘩は一種の楽しみであり、親は嫌がる自分の子を無理矢理決闘を申し込んできた三兄弟の一人と一対一で戦わせたのだった。
トール
「俺は五件潰した、計10人だ。
しかも年長からやってやったぞ!」
マッチョ
「やるなー兄さん!俺も五件、全部で八人だ」
二人以上にセブンは傷だらけだった。
トール
「セブン、お前は負けたのか?」
セブン
「僕はネズミの前歯を折った」
セブンの小さな手の平には赤い血の付いた歯が一本大事そうに布の上に置かれている。
トール
「俺でも七分三分のネズミのカトルをやっつけたのか?
実はあいつは三人でやっつけようと思ってたんだけど」
セブン
「多分負けたけど、でも泣かしてやったよ。
僕は…僕は泣かなかったけどね」
セブンは目を真っ赤に張らして笑った。
マッチョ
「…ふーん?いつも泣いてるお前が?
じゃあ、お前の勝ちだ!
あの出っ歯結構強いのに…お前すげーな!」
トール
「マッチョ…、そうだな!大将とった奴が一番偉いんだぞ!
良くやったセブン!お前が一番だ!」
立つのもやっとなセブンを兄二人はしっかりと支えてやった。
三人は喜んでいたが、両親にはきつく怒られた。
しかし祖父はセブンにこっそり「宝物が出来たな?」と囁く。
セブンはにっこり笑い出っ歯だったカトルの歯をポケットに詰め込み、本当は泣いてしまった事は内緒にしてしまった。
翌日にはこの喧嘩話が村中の噂になり、大人達をも感心させた。
それからはもう三兄弟に手を出す者はいなくなったのだった。