『華國ノ史』
 笑うカピパラ寮では次の事を嫌でも守らなければならなかった。

 一つ、
 住んでいる者は助け合う事。

 二つ、
 寮長の言う事をしっかりと聞く事。

 三つ、
 問題は必ず皆で話し合う事。

 四つ、
 カピパラの像を悲しませない事。

ウルブス
「以上がこの寮の創設時から守られている伝統です」


カトリ
「三つ目までは分かるけど四つ目は意味がわからん」


ウルブス
「三つ目までの約束事を破ると表のカピパラが泣きます」

クロネ
「可愛い約束ね」

ウルブス
「いえいえ、恐ろしいですよ。

 カトリ、セブンを助けないと言ってみなさい」

カトリ
「そりゃー喜んで、セブンは助けない!」

 
 すると大きな泣き叫ぶ声が外から聞こえた。

 ウルブスは耳を塞ぎ、皆に着いてくるように促した。

 
 外に出るとさっきまで笑っていたカピパラが噴水のように涙を噴き出している。

 
 ウルブスはカトリの耳元で大きな声で何かを話した。

 
 カトリは頷き大声で「セブンを助ける!」と叫んだ。

 
 するとカピパラは泣き止み、また笑った表情になった。

ウルブス
「ね?泣いたでしょう?」

クロネ
「厄介な魔法だわ、水が噴き出すと笛の様に音が鳴る仕掛けみたいね」

セブン
「面白いなーもう一回やって」

カトリ
「ウルブスさんが命令して皆で話し合って助け合ってこれ壊せば?」

 そう言ったそばからカピパラはまた悲しそうな表情に…

カトリ
「うそ!うそ!

 守っていこう!カピパラ君を!」

 カピパラは少し怒っているように見える。

ウルブス
「この寮だけ古くても取り壊せない理由の一つです」

セブン
「僕はセブン、宜しく」

 カピパラはまた笑っているように見えた。
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