『華國ノ史』
 ウルブスに案内されて各々は質素だが綺麗に掃除された部屋に入って行き、

 せっせと日用品を取り出していた。


 手荷物意外の荷は既に部屋に届けられており、

 セブンは鞄一つであったがカトリは3つも大きなトランクを持ってきているので時間が掛かっている様であった。


 板の間の部屋には汚れなのか元からなのかまだら色茶色いカーペット、

 破れを隠す麻布が被せられたソファーと簡素な木組みのテーブル。
 
 
 斜めに歪んだ板が並んだ本棚に、元はロッキングチェアだったであろう木の椅子、

 ベットは2つ並ぶように置いてあり、灯りがとれそうもないランプは既にあった。


 早々に荷ほどきを終えたセブンはせっせと小物を並べるカトリを珍しそうに眺めていた。

セブン
「沢山あるな~、また旅に出る時が大変だ」

カトリ
「早々旅に出ないし、お前が少な過ぎるんだよ。

 あとそのネズミ走り回せるのやめろ、気が散る」


セブン
「今日は異様にピエロン動かすの疲れるや」

カトリ
「ピエロン?魔力がギリギリなんだろうな」

セブン
「あっそれ、それ見せて」

カトリ
「これ?沢山あるから一つやるよ、ほれ」

セブン
「わーありがとう」

カトリ
「ハンガーが珍しいのか?やっぱお前変わってるな」

セブン
「ハンガーだって変なの、空飛ぶ?」

カトリ
「飛んだらこえーよ、服をかけるんだ。

 教えてやるよ」

 
 カトリに教わってセブンは制服をハンガーにかけ、

 それを壁の突起、もとい歪みに吊るした。

セブン
「立派になった!」

カトリ
「お前はついてるぞ、なんたって貴族と一緒に暮らせるんだからな。

 この殺風景な部屋も明日には豪華になるぞ?」

セブン
「じゃあ、犬も飼う?」

カトリ
「何で犬なんだ?

 もうネズミ飼ってるだろ?」

 セブンとカトリが話しているとドアを軽く叩く音がした。

カトリ
「どーぞー」

 ノックしたのはクロネだった。

クロネ
「まあ凄い荷物ね、セブン明日一緒に街を見に行かない?」

カトリ
「明日は俺と家具を見に行くんだよ、なあセブン」

セブン
「じゃあみんなで行こう」

カトリ
「ところでクロネコ、ハンガー知ってるよな?」

クロネ
「ハンガー?なにそれ、空飛ぶの?

 あとその呼び方やめて」

カトリ
「ハンガーって貴族の物だったのか」

 カトリはクロネにもハンガーを分けてやった。
 


 
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