『華國ノ史』
 夜はふけ、カトリはパジャマに着替え、セブンはそのままの格好でベットに潜り込んだ。

カトリ
「パジャマに着替えないのか?」

セブン
「パジャマ?」

カトリ
「…いや、いいんだ。火を消すぞ」

 カトリはランプを消して回り、ベットに入った。

 ランプの火が消えた瞬間、窓からは淡い月の光が差し、セブンのハンガーにかかった制服を照らす。


セブン
「明日、あれ着ていく?」

カトリ
「入学式は明後日だろ、それまで我慢しろよ」

セブン
「ご飯美味しかったね」

カトリ
「ああ、本当に旨かった」

セブン
「ウルブス強かったね」

カトリ
「ただもんじゃねーよ…お前も強かったな」

セブン
「強いだけじゃ駄目だってわかったけどね」

カトリ
「色々悪かったな、悪口言って、みんなになめられたくなくてさ、

 こういうのって初めが肝心だろ?」

セブン
「いいよ、僕も沢山殴ってごめんね」

カトリ
「初めてだよ、あれだけ殴られたのは」

セブン
「カトリ弱かったね」

カトリ
「これから強くなるんだよ」

セブン
「でも物知りだよね」

カトリ
「そっそうだよ、知識も重要なんだぞ。

 俺が明日街を案内してやるよ、何回か来た事あるし」

セブン
「良かった」

カトリ
「そうだろう、街は広いからな」

セブン
「そうじゃなくて、カトリが本当は優しくって…」

カトリ
「…しょうがねーな子分にしてやるよ」

セブン
「…」

カトリ
「嫌なのかよ?セブン?

 なんだ寝たのか、そういえば誰かと一緒にご飯食べて、

 一緒に寝るなんて久々だな」

 その夜、カピパラはいつもより笑い、料理人の幽霊は月光の庭で踊っていた。

< 44 / 285 >

この作品をシェア

pagetop