『華國ノ史』
 ウルブスも五人と同じ様に16まで無知なる者の止まり木で魔法を学び、

 卒業と同時に軍に入隊した。

 
 その頃は南の勢力と緊張状態にあり、

 いつ戦争が起こるか予断を許さない状況であった。


 彼が所属したのは魔法都市眠りドラゴン城の指揮下である華龍隊(かりゅう)隊であった。


クロネ
「その頃からもう華龍隊に?」

ウルブス
「見習い隊員でしたがね」

カトリ
「華龍隊って言ったら華國魔法隊の三強の1つだろ?」

ウルブス
「その通り、華の名を持つ部隊の1つでした」

 
 華龍隊、虎華(こっか)隊、王華(おうか)隊の三強は戦場で華々しく活躍し、

 ウルブスはその見習いとして第一次南北戦争を生き残ったという。

 
 正規隊員は次々に死に、繰り上げでウルブスは正式に隊員となった。

 
 第二次南北戦争は第一次よりも激しく長い、とても厳しい戦闘だったそうだ。


ウルブス
「多くの友を失い、私の命令で部下も無くしました。

 そしてあまりにも大勢の命を奪ってしまったのです。

 
 私は戦争が終わり、失意のうちにこの眠りドラゴン城へと帰還しました。

 
 私を助けてくれたのは今は亡きかつての寮長でした。

 
 強く賢き者達を育てよとそう言いました。

 
 争いを望まぬ、強い意志を持ち、戦争を回避させるだけの力を持つ者をと、

 私は理想主義者ではありませんが。

 
 ただ近い事はできるかも知れないと思ったんです。

 
 最低限の力で戦争を終わらせられる真の英雄を育てようと思ったのです」

カトリ
「それが僕達ですか?」

ウルブス
「強制はしません。ただそう願い見守るだけですがね。

 しかし、多くのものを傷つけるのでは無く、

 守れる力を身につけて欲しいのです。

 そう正しい心とでも申しましょうか」

クロネ「きっとそうなるわ」

ミニッツ&セコンド「そうだね」

セブン
「僕もみんなを守れる魔法使いになるよ!」

カトリ
「そうしなきゃカピパラが泣くもんな?」

ウルブス
「では明日から勉強に訓練頑張れますね?」

五人「はいっ!」

 ウルブスは彼等の成長が楽しみで仕方なかった。

 彼等と出会え、またこの寮で過ごす日々に運命的な物を柄にもなく感じていたのだった。
 

 
< 52 / 285 >

この作品をシェア

pagetop