『華國ノ史』
 ドキドキしながらクロネが一番大きな羅針盤の中央に立つ。

 するとゆっくりと中央から伸びる赤い色の三角の形をした矢印が動き出す。

 
 クロネは両手を組合せて祈っている。

クロネ
「ヒーラー、癒し手、ヒーラー…」

 しかし矢印は止まらない。

カトリ
「才能無いんじゃない?」

クラッシュ
「ふむ、ではその右の羅針盤に移動してくれるか?」

 クロネは心配そうにクラッシュを見た。

クラッシュ
「特殊な魔法特性を持つものはこの中くらいの羅針盤で示されるんだ。

 ヒーラーもこの羅針盤だぞ」

 クロネは喜び急ぎ次の羅針盤に移った。

 そしてまた羅針盤は動き出す。

 止まった先は…

クロネ「骸骨?って」

クラッシュ
「骸骨のマークは死霊使いだ」

 クロネは崩れ落ちた。

クラッシュ
「凄いぞ!

 20年に1人現れるかどうかといった特殊な才能だな」

 クラッシュの慰めもクロネには届かず、肩を落としながら羅針盤から降りた。

クロネ
「最悪ー、癒し手になって騎士様を助けて最終的にと結ばれる予定だったのに

 よりによって死霊なんて真逆じゃない!」

カトリ
「ゾンビやスケルトンに好かれるんだし、いいんじゃない?」

クロネ
「さっさといけ、長髪野郎」

カトリ
「俺はもう決定してるようなもんだろうけどなー」

 カトリは迷わず大きな羅針盤に立つ。

 矢印は鳥の絵を指している。

クラッシュ「やはり風か」

カトリ
「俺の一族は代々風の魔法を受け継ぐ貴族だからな」

クロネ
「ずるい!私も風が良かった」

 どうも悪役なイメージとして描かれるネクロマンサーは人気が無いようだった。







 
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