『華國ノ史』
 双子の結果には皆が驚いた。

 本人達でさえ驚いているようだった。

 ミニッツは一族の色を受け継ぎ、先に入園しているアワーと同じく精霊使いであった。

 
 これも特殊魔法に分類されている。

 しかしセコンドは初めの羅針盤で針が止まってしまった。

 結果は青い水滴。

セコンド「水魔法?」

クラッシュ
「惜しかったな、双子が揃って同じ属性使いなら、

 シンクロさせてかなり上位の魔法も使えたんだがな」

カトリ
「分かり易くていいじゃん」

セコンド
「俺達授業もバラバラか?」

ミニッツ
「離れるのは初めてだな、寂しくなるよ」

クラッシュ
「ではセブン、やってみようか」

セブン
「ないちょう、ないちょう!」

クラッシュ
「内調は属性じゃないぞ職業だ」

 
 セブンが大きな羅針盤に立つがこれは止まらない。

クラッシュ
「一期でこれだけ特殊な才能を持つ者が出るのは稀だな」

 
 しかし次の羅針盤でも針は止まらない。

 
 クラッシュは驚きを隠せずにいた。

 むしろ狼狽している。

クラッシュ
「故障か?まさか!

 いや、でももしかすると。

 確かにそれなら頷ける」

カトリ
「才能が無いんじゃない?」

クラッシュ
「三つ目の羅針盤は作られてから一度も使われた事が無い」

 
 皆が三つ目の羅針盤を見ると書かれている絵は三つだけであった。

 太陽・月・そしてメビウスの輪

カトリ
「月魔法を使える一族は滅び、

 太陽魔法はただの伝説とされている」

クロネ
「メビウスの輪は?」

 セブンが三つ目の羅針盤に立つと矢印はゆっくりとそれを指した。

 
 クラッシュは驚きを隠そうともせず、声を張り上げた。

クラッシュ
「まさか!…本当に驚いたな!

 いや、でもこれなら今までの事がつじつまが合う。

 まるで歴史の一端を見ているようだ!

 彼は星の魔法使いだ」



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