『華國ノ史』
 ~一般魔法実習クラス~

 専門分野に別れる授業と違い、寮生五人が揃って受ける実践授業はクラッシュが受け持った。

クラッシュ
「この授業では無属性、無特性の魔法を学ぶ。


 威力や効果は他に比べ低いものの弱点が無いと言うのも特徴である。

 
 まずは基本の基本であるマジックアローを習得してもらおう」

クロネ
「マジックアロー?」

クラッシュ
「うむ、マジックアローは収束した魔力を打ち出すだけのものなので、

 比較的に習得は簡単であるし、何より始めに覚えるであろう無詠唱魔法となるだろう。

 
 容易ではあるが、戦場において無詠唱魔法の意味は大きい。

 威力こそ期待できないが、訓練次第では強くする事も可能だ。

 決してイタズラや喧嘩で使用しない様に。

 では見本を見せよう」


クラッシュ
「我が手に集まり、敵を打て、マジックアロー!」

 光の矢が見事目標の案山子の頭を飛ばした。


クラッシュ
「どれだけ手に魔力を集められるか、

 また目標までの軌道をイメージが大切だ。

 魔力を硬質化させるイメージを持つのがポイントだ。

 慣れれば呪文も不要となる。

 では各自練習始め!」

 
 カトリは既に習得していたようで難なく命中させる。

 クロネのマジックアローは目標までの途中で消えた。

 ミニッツ&セコンドは出すことすら難しいようだ。

 
 自慢気なカトリが三人をニヤニヤして見ていると後ろからズドドドドン!と音が響く。

 
 案山子の回りの地面がいくつも抉られている。

セブン
「あーびっくりした。
 
 いっぱい出たけど全部外れたや」


クラッシュ
「威力はあるんだがな、闘技場でも最終的に素手で行っただろ?

 ナイフワルツの感覚と組み合わせてみろ」


セブン
「成る程」

 セブンは納得したかのように集中して呪文を唱えると、

 光は曲線を描きながら案山子を空に舞いあげる。

 空を舞った案山子は追撃を受け木っ端微塵となった。

クラッシュ
「それがマジックアローの強化版のマジックミサイルだ。

 魔力をコントロールし放線状に放つ事も可能だ」

 他の四人は開いた口が塞がらない。

セブン
「出来た出来た。

 次は踊る炎をと組み合わせよう」

クラッシュ
「マジックアローに自我を?それは凄そう…

 ダメダメ、暴走したらどうする!

 禁じられた術なんだぞ」

 しかしクラッシュは今までにない新しい魔法を簡単に生み出そうとするセブンを心の中で称賛していた。



 
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