『華國ノ史』
 尖り靴にブカブカのズボン、継ぎ当てだらけのコート。旅の魔法使いは姿そのまま「ピエロ」と名乗った。

 
 黒く美しい長髪で涙の刺青、ピエロの割には中々の男前であった。

 
 探し物をしている旅の最中で、ぜひセブンの家に泊めて欲しいとの事だった。

セブン
「いいよ」

トール
「お前が決めていいのか?」

マッチョ
「良くねーよ、怪しすぎるだろこの格好」

ピエロ
「怪しく無いよ?」

マッチョ
「怪しい奴は皆そう言うんだよ」

ピエロ
「君、頭良いね」

トール
「まあ聞いてみるだけな、じいちゃん魔法使う奴嫌いだからなー なあセブン?」
 
セブン
「何を探してんの?」
 
 セブンはトールの皮肉に気づかなかいようだった。

ピエロ
「宝物だよ」

 セブンはポケットから血の付いた歯を出した。

セブン
「これ?」

ピエロ
「無邪気な笑顔で怖いの出すなよ、君の?」

セブン
「ネズミの前歯」
 
 セブンはさも誇らしげに見せたが、ピエロは理解出来なかった。

マッチョ
「何故うちに?
 
 泊まる所なら他にもあるだろう?
 
 村長だって旅の話を聞きたがってたのに」

ピエロ
「いちいち鋭いね、君」

トール
「まあいいじゃん、魔法見せて貰えるしよ」

 四人はワーワー話しながらセブン達の小屋へと向かった。



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