『華國ノ史』
 二人は恐る恐る両開きの扉を押して開いた。

 中は真っ暗で何も見えない。

 自然とセブンはカトリの手を握る。

 カトリもそれを握り返した。

「ボッボッボッボ」

 という音と共に壁にあった燭台に火が灯り、

 部屋を見渡せるようになった。

セブン「何もない」

カトリ「あれは?根っこ?」

 
 部屋の正面の壁から植物の根のような物が生えている。

カトリ「ウロコ?」

 
 するとそれはグーっと先端を持ち上げセブンとカトリにお辞儀をした。

 
 つられてセブンもお辞儀を返す。

カトリ
「尻尾だ!ドラゴンの尻尾だー!」

 腰の抜けたカトリはお尻を引きずりながら後退りした。

 
 ドラゴンの尻尾の先端は何かを指し示している。

 壁に立て掛けられた剣であった。
 
 
 セブンがそれを手に取ると龍の尾は再度お辞儀をし、

 いきなり尻尾が襲いかかってきた。

 とっさにそれを受けるセブン。

 カトリが魔法で応戦しようとした時、足元に魔方陣が現れ、

 強制的に魔法がキャンセルされた。

 
 それを感じ取った龍の尾はカトリを持ち上げるように壁に飛ばした。


カトリ「がはっ」
セブン「カトリ!コノヤロー」

 セブンは果敢に挑んだが、全て尾の先端で攻撃を弾かれる。
 
 
 足をすくわれ転ぶセブンを助けようとカトリも壁にあったモーニングスターで応戦し始める。

 
 龍の尾は二人を弄ぶように戦った。

 
 逃げようとしても足を捕まれ部屋に引きずり戻され、

 次第に二人は部屋の隅ヘと追い詰められた。


カトリ「はーはーっ、くそっ」

セブン
「魔法が使えないなんて」

 
 二人が命の危険を感じた時、龍の尾はまたお辞儀をして二人から離れた。

セブン「今だ。逃げよう!」

カトリ
「違う!わかったぞ!
 
 これは訓練なんだ!
 
 あなたはバルデスの友、そうだろ?」

 すると龍の尾は二度うなずいて見せた。



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