『華國ノ史』
    【華國史】第参巻 
   ~星の魔法使いの章~
      青年期

 南の大国の最高権力、煌皇軍皇帝は北進の大号令を発した。


 それに踏みきったのは軍備の充実であり、

 その年以前が豊作続きであり兵糧が整った事もある。

 
 しかし最大の起因は魔人種と人間を交配し誕生させた新しい種族で編成される部隊増強が大きかった。


 大昔、華國以下の南部勢力を滅ぼした魔人種は、

 恵まれた体格と魔力を持っている者が多かった。

 
 しかし繁殖能力の低さ故に長年の抵抗虚しく敗北を期し、

 数名が連合軍に降伏する事になる。

 
 魔人のそれを克服する為に人間との交配実験が秘密裏で行われ成功に至った。

 
 力は魔人にやや劣るが繁殖能力は人と同じになり、

 その数はこの時三百を越えている。

 
 彼等の容姿は灰色の肌、髪と目は黒く、鋭く固そうな爪は白い。

 
 純血を好む魔人からは嫌われ、人とも見なされない彼等は摂理に逆行する者として扱われる事になる。

 
 それ故ハーフは「逆人(さかびと)」と呼ばれ、

 生まれながらに奴隷となり戦う事を強いられた。

 
 反逆心の高い彼等を服従させる為に煌皇は刺青を幼い頃に彼等に彫り込む。

 
 呪いの刺青は屈強な彼等を簡単に死へと追いやった。

 
 能力が高い彼等は高いプライドを持っているので死は恐れない。

 
 仲間を盾に取ったのだ。

 
 通常の兵士と魔法使いに加え、

 新しく手に入れた悲しい種族を持って華國より優勢と計った煌皇軍は皇帝に侵略作戦を進言、

 それを許可されるに至ったのである。

 
 そして、煌皇軍の将軍の一人が第一陣を担う事となる。

 
 煌皇国史に名高く、華國史に悪名高き

 奮起の名将

「ボーワイルド将軍」の登場である。
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