『華國ノ史』
 この世界には魔法がある。

 正確には魔法もある。

 しかし使えるのはほんの一部の人間だけであった。

 
 それは血筋、精霊の加護、セブンのように突発的に使える等、様々な理由で発覚する。

 
 ピエロはそんな魔法を使える様になった者を徴兵するのも仕事の一つとしていた。

 
 彼はセブンについて詳しく話を聞き、ピエロが両親と話をすると言うので祖父は子供を連れて別室に行き、セブンを抱き締めてやった。
 

ピエロ
「7回死んで、息を吹き返した?

 本当に?」


「ええ」

ピエロ
「…それは凄い。

 それで間違いないでしょうね、彼が魔法を使えるようになったのは」


「セブンはどうなりますか?」

ピエロ
「見たでしょ?彼の才能」


「ただの小さな魔法でしょう?」

ピエロ
「素人目ではね、だがあれは無詠唱で火を出し、しかもそれ自体に恐らく自我を持たせている。

 
 魔法に自我を持たせるのは禁術なんですよ、そんじょそこらの魔法使いが出来る事じゃ無い」


「子供の悪戯です」

ピエロ
「7回死んで7回生き返るのも大魔法使いへ至る修行法ですよ?

 
 やり方は多少違うが、死に触れる事で魔力の根源を覗ける。

 
 多くの者はそれに挑み死にますが、0歳児でやってのけるとは…

 
 たまたまとはいえ、育てれば必ずこの国の有効な戦力になる」

 
 戦力という言葉を聞いた瞬間に母は泣きながら激怒した。



「あの子は物じゃありません!お引き取り下さい」


ピエロ
「まあまあ、義務ですから。
 
 言い方が悪いのは私に感情が少ないって問題でして、まあ、まともな神経ならこんな仕事できゃしませんが」



「もし渡さなかったら?」


ピエロ
「渡さざる終えない方法を取ります。
 
 それに大事に育てますよ?
 
 一生会えない訳じゃないし、給料も良い。

 悪い話じゃない。

 普通の親は望んで魔法適正試験を受けさせるんですがね?」


「あの子はまだ子供です」

ピエロ
「小さい内から知識つけとかないと、魔法は間違った使い方すると危険ですし」

 
 別室で聞いていたセブンは祖父の腕をほどき扉を勢いよく開けて飛び出した。

セブン
「父さん、母さん、僕この人について行くよ」

 
 セブンが一度言い出したら聞かない事を知っていた母はひどく驚き狼狽した。



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