『華國ノ史』
 魔人と人間のハーフである逆人が世に知れ渡ったのがこの戦いであった。


 包囲軍の各所に配された逆人の戦士は、

 魔法都市から放たれる魔法の光弾を掻い潜り、

 城壁の下にまで、いともたやすく進んだ。


 襲いかかる煌皇軍を寄せ付けない守護神ゴーレム。

 
 石で出来た彼等には剣や弓はおろか、魔法ですら決定打を欠いた。

 
 多くの煌皇軍兵士は敵わないと分かり後退りしていたが、逆人は悠々と集団の前に出る。


 彼等の数人がゴーレムに向かい手をかざすとゴーレムの巨体を生かした激しい動きが鈍った。


「魔力遮断魔法」


 対称の周辺魔力を断絶する魔法は魔人特有の魔法であった。


 魔法を使えなくすれば体格、筋力の勝る魔人に敵う人間はそう多くない。

 
 魔人が脅威である由縁の魔法であった。

 城壁より送られていた魔力を寸断され、動きを止めたゴーレムの動力源である玉石を簡単に残ったの逆人が破壊すると、

 ゴーレムは音をたてて形を崩れた。


 煌皇軍は逆人の強さに歓声を上げ、華國側は見たことも無い亜人に恐怖した。


守備兵
「ゴーレムが…全滅しました」

クラッシュ
「一体奴らは何者なんだ?」

守備兵
「梯子が来ます」

クラッシュ
「まて、正面ゲートのあれは?」

 正面ゲートの前に異様を感じたクラッシュが息を飲んだ瞬間。 


 煌皇軍魔法使いの集団が一斉に強固なゲートに向かい様々な魔法を放った。

 
 ゲートの扉は折れ曲がる様に内側へと開かれ、洪水の如く煌皇軍が雪崩れ込んだ。


クラッシュ
「魔法耐性城門だぞ!国中の魔法使いを連れてきたのか?

 北の海も魔法で乗りきったのか!

 城壁内部の魔法使いを直ぐに呼び戻せ、市街戦だ。

 城には誰も近づかせるな!

 こうなったらドラゴンを起こす」

守備兵「ドラゴン?」

クラッシュ
「いいから言われた事をしろ!

 全滅するぞ!急げ!」

 クラッシュが階段を降りようとした時、正面ゲートの方で味方の悲鳴は歓声へと変わった。

クラッシュ「セブンか?」
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